今日は色々あって疲れたのと金曜日なのとでなんだか感傷的というかノスタルジー…じゃあ郷愁か。
まあそういう気分なのだ。下校時間間際、オレンジ色に染まる教室でぼんやりと何かを感じつつうとうととする。

窓を見やれば雲も朱色に染まりさあ帰ろうって感じの色合いを醸し出していた。


「ん?どうした の?家の鍵忘れて帰れないのかな?」


んで、1人何かいい気分になってからのムードブレイカー佐々木。
ある意味素晴らしいタイミングだったよ。拍手。


「いや、家の鍵とかではなく…普通に今帰ろうかと思ってたけど何か空がきれいだったからつい眺めてただけ」


「ふうん。名前ちゃんセンチメンタルってやつ?」


ああ、それだ、センチメンタルだと思いつつまあ普通に帰り支度をする。

秋の空は暗くなるのが早い。もう青黒い空が端から見えだしてきた。
陰りだした教室では佐々木くんの影(主に前髪で隠してるところとか)が更に暗くした。


「ねえ、夜のお菓子ってなんだか知ってる?」


「は?!」


何言ってんだこいついきなり。文法がおかしくなるほどびっくりした。もう一回言うと何言ってんだこいついきなり。

夜がなんだってか?


「夜の、おかしってなにさ」


「だから名前ちゃんは知ってるかなー?って思って聞いてみたんだよ。正解したらあげる★」


どんどん夜に近づく空、外からはさらさらと冷たい風が吹いた。
なんなの夜って。

まさかのまさかだけど下ネタじゃないよね、ありがちなそういうのじゃないよな、まさか佐々木くんに限ってないよね。

ぐるぐる回る頭に佐々木くんはとても楽しそうにザンネン★時間切れ。とにやにや笑った。


「正解は、うなぎパイだよ★
ディナー後のデザートってこと。

ちなみに下ネタじゃないよ」


「なっ」


毎度のことながら見透かされていたのと、佐々木くんの思う通りであったことにどこか腹立たしかった。

「まあまあ怒らないで」


「誰が下ネタなんて考えると思っ…うわっぷっ!!」


仕返ししょうと思った、しかし。
がたりといきなりたって立ち上がるとずっと座ってたのもあってかよろけ、体勢が崩れたままに佐々木くんに向かっていってしまった。


「え★」


「うわっ」


解説するのも恥ずかしい。事故ではあれど、私は佐々木くんの胸にダイブしていたのだ。
勿論というのもあれだけど、佐々木くんは私を支えてくれた。当たり前だけど佐々木くんは男子。私よりも一回り大きくて筋肉質だった。

かああと顔の熱が上がっていく。恥ずかしさとよくわかんないもやもやした気持ちが湧き上がる。

速攻に謝って離れるべきだ。
佐々木くんの胸を押して顔をあげ、声外れ気味にごめんね!今避けるから!と、離れようとした。



それは叶わなかった。
何故なら支えといっても控えめにあてがわれていた手は腕からきつめに回され、私全体は佐々木くんによってぎゅっと包まれたからだ。

え?え?、と"え?"を口から大量生産する私。手は宙をぱたぱたと空振りする。

佐々木くんは小さい声でゴメンネ★、と呟くと腕から私を解放した。


一瞬時が止まったかのように静まり返って、何故か煩い心臓の音も聞こえなくなって佐々木くんを見つめている私がいた。

そして顔の熱はあっという間に帰還し、私の頭はただ恥ずかしいという感情に支配されていた。


ばっとその場から飛び退き机に提げていた鞄を瞬時に肩にかけて気がつけば私は逃げ出していた。
鞄を肩にかける瞬間に佐々木くんに鞄が激突した気がしたけどきっと気のせい。

私のわけわかんない顔の熱も気のせい。



明日から佐々木くんとどんな顔して会えばいいか分からないと家に着いてから悩ましく頭を痛ませた。



2012/06/05
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ここからりすせんぱいが頬を赤らめて喜びそうな話になっていきます。



 
 
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