きらきらと雨粒は草木を滑り綺麗に輪を描いた。
雨が止んだ地面は靴の跡が付くほどに柔らかく、踏む度に水が表面に染み出てくる。


梅雨明け宣言を最近に中庭でこんにちは。
どうも、最早最後に物理部らしいことをしたのはいつだっけレベルで雑務中、名前です。
今日は雨が止んで地面が柔らかい内にと絶賛草抜き中。
確かに柔らかいから抜けやすいけど泥まみれなのはいささかつらいものがあるのだった。

いやかなりつらいかな。



「まあまあ綺麗になってきたしちょっと休憩にしょうか。
抜きすぎてもあれだしね★」


屈めた姿勢から立ち上がり伸びをする佐々木くんにつられるように私も立ち上がる。背骨がぼきぼきとなかなかの音を立てた。

ゆっくりと背を伸ばしてから、中庭の入り口付近のコンクリートブロックに腰を下ろした。
2人してふう、と一息つく。


「紫陽花っていいよね★」


「昨日の雨粒で紫陽花が更に綺麗な気がするよ。
紫陽花って雨に映えるよね」


「確かにそうだね」


ピンッと指で紫陽花を弾くと佐々木くんはそういえばね、ぐりんと此方に振り向いた。
話したくて仕様がないのかぱたぱたと手が動き、目が見えない分表情は読めないけどなんかこうオーラがキラキラしてる。


はっ!と私の中で何かが煌めいた。
このパターンはヘンな話を振られるパターンだ!

よし、紫陽花関連だと死体が埋まってて何色的なあれだな!
確かアルカリ性が赤だったっけ。

いつも突拍子のない話(しかも相当ヘンな話)を振る佐々木くんだけど今日はじっくり聞いてあげれる。呆れたり口を馬鹿みたいに開けっ放しにしない。さあ、こい!聞いちゃるぜ!



「なめくじって塩をかけると溶けるっていうけど本当は溶けてるわけじゃないんだよ」


知ってる?と小首を傾げる佐々木くんに私はいつものように馬鹿みたいに口が開けっ放しだった。


「まあ紫陽花は定番だからね★」


どうやらとことん佐々木くんには勝てないようだ。
それに何故か脳内を読まれてる。





2012/06/05
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余談
まぐろ「なめくじ内の水分よりも塩のほうが濃度が濃いから、塩に水分を持っていかれて中の水分を出し切ってしまうだけなんだよ★」

閑話でした


 
 
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