「…………」
「…………」
「えと………」
「…………★
(さっきからドアの隙間から先輩たち丸見えてんだよね)」
結局退散した2人とやってきた1人、足しての3人は隙間から覗いているのだ。
名前は気づいていないようだが、まぐろは気づいているようである。
「えーと…」
…気まずい!
見ればみるほど(目の前に本人いるのに)佐々木くんのことを考えちゃって、頭が回らない…!
エコロと言い佐々木くんといい私を混乱させてばかりだと思う。
どうにか口から押し出したのは謝罪の言葉だった。
いきなり重いよ!と頭の中でセルフツッコミをしちゃうくらい頭混乱中だ。
「えっと、今日は避けちゃってごめん、」
「こっちこそついハグしちゃってゴメン。
びっくりさせちゃったね」
「う、うん………」
やっぱり気まずい!
そしてたかが半日喋ってないだけなのにとても久しぶりな感覚。
そんなこんなでキャラに合わずもじもじしていると、佐々木くんはすっと此方に顔を合わせて真面目な声で喋り出した。
「さっきエコロが言っちゃったけど、それはおいておいて。
僕、名前ちゃんと居るのが楽しいから出来ればいっしょに居たいと思ったりしてるんだけど、いいかな?」
私も、そう思う。
けど声が出なくて、そしてひたすら嬉しくて私は大きく頷いた。
「前から好きでした。付き合ってください」
佐々木くんは少し照れを混ぜ込んだ声色で、告白してくれた。
私だって佐々木くんと居たい。伝えたい思いは駆け巡り形になる。
……はずだったのだが。
鼻がとてもむずむずしていて、それはピークに達し、結果として返事として現れなかった。
「はい…はっ、はっくしょん!」
くしゃみ。嚔。
佐々木くんはぽかんと口を開け、私のくしゃみを皮きりにいっきに騒がしくなり始めた。
「うわっ、押さないで下さいエコロ!!」
「ごめーん!りすくんの足がくすぐったくてつい!
あとりんごちゃんのパンツが見えそうなのを回避したらこうなったー!」
「愛だ…!」
「…………★」
「……………」
「エコロ、殴りますよ。広辞苑で」
「ごめんりんごちゃん!広辞苑はやめて!」
後ろのドアからいきなり3人が流れこみ、騒ぎ始めた。
私はもうばたんきゅー寸前に頭がぐらんぐらんなのに佐々木くんはまるで想定内でしたって感じで苦笑している。
まるでいつも通り。
違うと言えば、少し距離が近づいて想い合えるようになったくらいだ。
そう、それだけ。
そしていつも通りにふざけた青春を送るんだろう。
よく思い返せばこの青春ももう一年。冬が終わればキミと出会った春に回帰する。
「また改めてよろしくね、名前ちゃん★」
「よろしくね、まぐろくん」
ヘンなキミとヘンな僕らのそれなりの青春。
実は結構楽しいのが本音で、実はそれなりに甘い。
2012/06/25
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まぐろくん中編これにて終了です…!!
長かった…!
まぐろくんなかなか動かしづらかったです…奴は何考えてるか分からん(褒め言葉)
でもだからこそ楽しかったです!
あとおまけ話を後日アップしますのでそのときにでもあとがきを書こうと思います!
ここまで読んでくれた方々、お付き合いありがとうございました!
楽しんでいただけたのならこれ幸いです。
なみこ