(まぐろくんside)


名前ちゃんが書庫室に立てこもってから数分。
お化けの出ると噂のある書庫室はお化けが出なくとも、本が乱雑に積んであって危険で、そして掃除がされないから埃が溜まっていて不衛生ととにかく名前ちゃんが心配で出来るならこの部屋だけは入ってほしくなかった。


どんどんドアを揺らしたり、大きな声で呼びかけたりしたけど反応はなくて聞き耳を立て始めてあることに気づいた。
自分が大きな音を立てていたから気づかなかったのだけど中からまったく名前ちゃんの立てる音がしない。

座りこんでいたとしても多少は音はするだろうし移動すればなおさらだ。
僕はりんごちゃんと違ってあんまり非科学的なモノは怖くはないけど、きっと名前ちゃんは別だと思う。

あんなに激しく走ったのに息づかいすら聞こえないなんておかしい。

そう思うと同時にダッシュで職員室に向かっていた。
息づかい荒く先生の許可を取り、サブキーを借りるとまたダッシュで戻ろうとすると後ろからりんごちゃんの声がした。

振り返ると驚いた顔でりんごちゃんは此方を見ていた。
何だかんだで全力疾走したから汗だくだったのを思いだし、袖で汗を拭う。


「まぐろくん、廊下を走ってはいけないという校則はとりあえず置いとくとして何かあったんですか?すごいですよ…色々」

色々どうすれば良いか聞いて欲しいところだけどとにかく時間がない。
そして結局のところりんごちゃんには非科学関連はアウトだから時間があっても相談できなかったんだろうと思う。


「ごめんねりんごちゃん!!また後で!!
図書庫のオバケで名前ちゃんが図書庫で閉じこもって無言でタイヘンなんだ!」


「落ち着いて!
あとちょっと待ってまぐろくん!図書庫のオバケというのは……!」


りんごちゃんが何かを叫んでいたけれど僕は名前ちゃんの元へ向かうことしか考えられなかったのと、りんごちゃんはもう既に遠くの廊下で何も聞こえていなかった。

そして依然と静けさを発する図書庫の施錠された鍵口に鍵を差し込み、そして────



2012/06/17
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何でまったく名前さんの声が聞こえなかったかといえばエコロさんが奥に連れて行ったせいですね。

 
 
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