左右と体育
ラフィーナが輝いて、クルークが苦い顔をするこの時間はそう、体育の時間だ。
今日は球技。
体育は魔導を使う基礎体力を高めるためのもの。今日の球技なんかは相手に効果的に技を当てる為の命中率向上のためのもの……と分かっていても辛いし疲れるのが体育だ。
そしてまあ察しの通り3人組であるので、人数が多いのも体育に強いラフィーナがいるというのもあってか疲れる。
といってもまあクルークはモヤシすぎると思うけども。
白いし細いしうひゃひゃ(?)だしね。
「大丈夫ですの?たかがボールを投げた、だ けですがそんなに疲れたならそちらの木陰で休んでいてよろしいですわよ。
私はナマエさんと2人でやりますから」
「…うっ、うるさいっ、はあ、はあ……ちょっと昨日夜勉強した疲れが出ただけさっ…!げほげほ、」
「だらしがないですわ。まったく……モヤシですわね」
「…確かにっ、鍛えは足りないかもしれないけど、それにしたってキミの力が馬鹿力過ぎるんだ!
これはコントロール力を高めるためのものだろ?力だけあれば良いってもんじゃないだろ?!そうだろ!ナマエ!」
「ま、まあちょっとラフィーナは肩に力が入り過ぎかもしれないかも」
「ま、まあナマエさんがそういうならコントロールに努めますわ」
「……ふんっ」
そうして力も緩やかにラフィーナ、クルーク、私の順でボールを回していくのだけども、やはりこの2人ただ事じゃ済まないのだった。
緩やかになった力はいつも通りすぎる2人の喧嘩によりだんだんと強まっていく。特にラフィーナからクルークへのパス。
凄い音がしてる……っていうかパス順を私、省かれとるがな……。まああんなボールはとれないから…いいか。
ラフィーナ、クルーク、ラフィーナ、とぐるぐるボールは回る。どんどん凄い力が込められている。
そしてラフィーナが投げた豪速球をクルークは捉えきれず顔面キャッチに至った。
……凄い音がした。メガネが割れなかったのが救いだなぁ…なんて呑気に思っていたら、捉えきれなかったのだから逸れた、にしろ凄いパワーのかかったボールが私へと向かっていた。
気づいて避けなくてはと思う考えが浮かぶのとボールが衝突したのは同時だった。
ああ、これなんていうとばっちりだ……!
*
*
*
ぱちり、視界が開けると白いカーテンに白い天井に白い布団、独特のアルコール臭。
「………ん」
「ナマエ!」
「ナマエさん!」
「らふぃーな?くるーく?………いたた…」
状況が確認出来なくて上半身を起こせば頭に少し痛みがした。
と、同時に2人に肩を押さえて元の位置に戻された。
「まだ動いちゃ駄目だ!」
「もう少し体を休めて下さい!」
…うんと、ここ保健室だ。
頭をさすれば冷たく、体を起こしたときに落ちたのであろう氷の解けきったひょうのうが布団に落ちていた。
ラフィーナやクルークだけではなくアミティやシグも来てくれていた。心配かけちゃったかな。
「ナマエ!ナマエに大事がなくてよかったよ!」
「ナマエ、だいじょうぶか?」
「アミティ、シグありがとう、あとクルークとラフィーナも」
「…いや、僕は何もしてないから感謝されても困るな」
「クルークはね!ラフィーナのボールを受けて鼻血出して倒れたからナマエと一緒に保健室に運ばれたんだよ!」
「アミティ!そっ、それは言わなくていいんだよ!」
「まったくモヤシメガネは駄目ですわね!ナマエさんをそこのモヤシメガネに代わって、私が運んだんですのよ!」
「ラフィーナ凄かったよ!格好良かったしね!」
「へえ…!ラフィーナありがとう!」
「……むぅ」
「でも、らへーなが投げたボールでナマエが頭うったんだけどな」
「なっ…!!シグ余計なことは言わなくてよろしいですわ!」
シグの一言でみんなが笑ってむくれていたクルークもうひゃひゃと笑った。
頭の痛みはもう消えていた。
*2012/03/13
なんだか消化不良。
また書き直したい
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