始まりの左右
「ねえねえ!ナマエ!今日席替えするんだって!」
「へぇ、そういや最近やってなかったね」
うんうん楽しみだね!と話と共に笑顔も弾むアミティが私の只今のお隣さん。
ちなみに後ろがリデルというなかなかのベストポジションだと思うので席替えはあまり乗り気ではないのだった。多分後ろでそわそわするリデルも。
「でもアミティとリデルと離れちゃうかもしれないのはちょっとね…」
「それもそうだけど私、次こそ3人席になりたいんだよね!」
「えー、3人席って、あの3人席…」
説明しょう。
今のクラスは奇数人数のために中央の席列の一番後ろに3人が席をくっつけるというかなり窮屈な席がある。
確かに友達3人で3人席になれたら凄い楽しいけど男2:女1になっちゃったときの負荷は計り知れない。なかなか難しい席なのである。奇数だし。
あれ私誰に説明してるんだろ。
「あと、居眠りしちゃうからなるべく後ろがいいんだよね……」
「アミティらしいね」
「あはは、ナマエとリデルとで3人席になれたら最高なんだけどなー」
確かにそうだと頷いていると教室にアコール先生が入ってきた。手に持っている席替え用のくじに皆の視線が集中する。
私はというと3人席なんて頭の片隅に、今日の1時限目の授業に思いを馳せていた。
うん、此処から悪夢の始まりだなんて思ってもみないわけだ。
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で、まああれだ、結論から言うと3人席になったわけです。
要するにさっきのアミティとの話が所謂フラグだったわけだね。
そして今悪い知らせと良い知らせがあるのでまず良い知らせから言おう。
とりあえず男1:女2でした。
そして、悪い知らせはというと。
「貴方とこんな至近距離になるなんて本当に最悪ですわね。まだナマエさんが真ん中なのが救いですわ」
「それはこっちの台詞だね。
ナマエ、ラフィーナがうるさいと思うけど我慢してね」
「なっ…!ナマエさん!右隣のジメジメガネこそ陰気で居心地悪いと思いますが私が出来る限りフォロー致しますから安心なさって下さい!」
「なんだと!?」
「なんですって?!」
学年を通り越し学校内で有名な仲の悪さをもつラフィーナとクルークの間に挟まれる形で3人席になってしまいましたとさ。めでたくないめでたくない。
何故か私を巻き込んで喧嘩をする2人である。何故だ…喧嘩するなら2人でやっていただきたい。
嬉しくないぞこのモテモテ具合は。
あははモテ期だよあはは、だなんて乾いた笑いを零す私を見て更に左右はいがみあっていた。
ちなみにこの戦いは休み時間だろうと続くのである。
逃げようとした私の腕をがっちり掴んで。
前門の虎、後門の狼なんて言葉がある。
私も今もう一つ逃げられないシリーズ作ったよ。左隣のラフィーナ、右隣のクルーク。
意味が違うって?今はそれを気にするほど私に余裕はないのだった。
*2012/03/11
喧嘩上等の2人に挟まれてばたばたする長編スタートです。
喧嘩台詞が楽しすぎる。
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