緑色と赤色の対決と道中


なかなかに疲れる日だったけど過ぎてみればあっという間。(クルークの家までの道のりを覚えようと必死で授業中シグに悪戯されても気にならなかったからかもしれない。)
そして放課後で、私は先生から貰った地図を頼りにクルークの家へと向かう。


先生からの手紙と授業のプリントと地図、ぴらぴらと風でなびきながら音を立てた。

すると、近くで小走りで走っていた小さな男の子。
そんなに急ぐと転んじゃうぞ、と思うが早いか男の子はすってんころりと転んでしまった。

どうしょう大変だ、と男の子に駆け寄ろうとする私よりも早く男の子に近付いたのは緑色の人影。



「大丈夫?ほら、泣かないよ。
甘いキャンディあげるからね?」


「うえっ、ひっく、………うん」



緑色の人は優しく頭を撫でて柔らかい桃色の棒付き飴を差し出した。まだしゃくりあげてはいるものの、男の子は大分落ち着いたようだ。


うん、素敵なお兄さんだな。
小さい子の扱いに長けてるみたいだ。



「おいしいかな?もっとあるからね」


「ちょっとそこのアヤシイお兄さん!幼児誘拐は犯罪ですよ!」


「えっ…ええっ!?」


微笑ましいなぁ…と見ていた矢先に髪の毛をぐりんぐりんに巻いた赤い髪の女の子が緑のお兄さんを牽制するように指を差し声をあげた。



「えっと…誘拐って?」


「人をかどかわすことです」



「意味じゃなくてね、何で誘拐?」



「そちらの泣きそうな男の子にお菓子を与えて連れ去ろうとしているのは明白、明らかにお兄さん、あなたは誘拐犯です!」

「そ、そんなぁ…
待って!そこに居る女の子は見ていたよね!僕は誘拐しょうとしてないって知ってるよね!」

「えっ、ええ…まあ」


確かに泣きやみそうなのと泣きそうなのは似ているし、そんな男の子にお菓子をあげようとしているお兄さんは彼女の言うようにアヤシイのかもしれない…ちょっとした瞬間を見ていないだけでかなり見方が変わるんだなぁ…なんて考えていたらお兄さんは私に助けを求めた。

そして考え事をしていたので返事が曖昧になってしまったので余計ややこしくなってしまった。

女の子は確信したように、高らかに声をあげる。



「そこの方も困っていますよ!あっさり認めたらどうですか?」


「えっそんなぁ!」


「さてそれではアヤシイお兄さん、誘拐犯退治の………レッツ?」



「ぷよ勝負!?」





   * * *



えっ?えっ?と戸惑いのあったお兄さんは誘拐犯を止めんと勢いづく女の子の勢いに押されてあっという間にお邪魔ぷよの山にて潰れてしまった。



「ばたんきゅー…………」



「だっ、大丈夫ですか?」



「なんとかね……あの子その前から何でか僕をアヤシイ人だと思ってるんだ…」


「最初から見ていたから言えるんですけど、男の子を気遣う姿勢も優しい物腰も素敵でしたよ。確かに少し怪しいですけど」


「ありがとう、………でもさっき言って欲しかったよ…」


お兄さんはへにゃりと力なさげに笑った。
も、申し訳ない……。





*2012/04/08
りんごちゃんと彗星の魔導師さん!






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -