どろりと一度溶けて再度固まってしまったそれは形なんて留めていなかった。

みんなのマスコット的存在であるはずの可愛らしいそれは最早お化けの類に近い。
自分がこれを貰ったら嫌がらせの類だと認識すると思う。



「さあ、どうした。
私に何か渡すものがあるのではないのか?」


ん?ん?とどや顔で聞いてくる魔王に返す言葉もない。
いつもだったら、負けずに言葉を返してやるのに。


静かにうなだれる私に何かあったのかと感づいたらしいサタンは静かに声色を変えた。

あ、かっこいいサタンの声だ。いつもおふざけばかりでいるからかたまにみせる格好良さに絆されてしまう。



「どうした、何かあったのか?」



「…我が儘な魔王のために作った可愛いチョコが気が付いたらどろどろに溶けてお化けチョコになってたからかなり今がっくり来てるとこ」



「溶けた、か。
見せてみろ」



「…笑わないでよ」


元はカーくんだったそれは悲しいかな、どう見てもお化けだった。
サタンはチョコを見つめると静かにフッと笑った。



「なんだ、カーバンクルちゃんのチョコじゃないか」



「えっ、分かるの?!まるでお化けチョコなのに…!」


「まあ黄色だしな。

それにナマエなら何だかんだいって作ってくれると分かっていたからな」



「…サタン」



いつもはおふざけ全開でアルル大好きで、黄色かったり残念なイケメン代表なサタンだけどなんか格好いい。



「そしてこのカーバンクルちゃんチョコにはI loveサタンさまとも書いてあったはずだ!そうだろう!」



「うん、調子乗りすぎ」


ぺしりと頭叩くと照れなくとも良い…!と逆に燃えたような態度だったので再度叩いておいた。


……気のせいだったかな。
格好良く見えたの。



2012/02/14 *HAPPY Valentine's Day!
 
 
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