「やあどうかなシェゾ今日の収穫は?」


「なっ、何の話だ!まったく何の見当もつかないな!」



「アルルからは貰えたかな?」


「にやにやするな!腹立たしい!」



そういいつつもそわそわちらちらこちらを見るシェゾ・ウィグィィさんは明らかに甘味を欲しているようだ。


うん、まあ今時魔導学校の子たちでもやらないような見え見えチョコ欲しいアピールをその前からずっとやってたしね。

アルルには大分煙たがられ、サタンには哀れみの目で見られていた。(サタンは一応ルルーに貰えるので何処か勝ち気)
あんなあからさまな反応をして喜ぶのは多分甘党不審者ミドリの彗星だけだろうな。


「大分前からアピールしてて可哀想なシェゾくんに仕様がないからナマエさんがわざわざ溶かして型に入れてあげたチョコをあげよう」


「せめて作ったって言えよ」


「本当に溶かしただけだからね」



まあそんなもんさ。チョコとか本格的に作るなんてなかなか出来る芸当じゃないからね。



「それとそのまえケロティ兄さんクッキーをあげたらこんな可愛らしいものを食えというのか!とキレられたのを考慮してハート型にしてみたよ」



「…………………」


ピンクの大きめなハートのチョコを渡すとシェゾは黙ってそれを見つめた。

理想としては嬉しすぎて涙が止まらないのを期待していたけど大分静かだな。
袋から出してなんか地味にポリポリ食べてるし。



「……なんだ普通のチョコか」


「普通じゃないチョコってどんなだよ」



「魔女の得体の知れないものが入ったチョコとか」


「バレンタインデーに劇物を混入させるほど良心は失ってない」


普通にポリポリ食べ続けるシェゾ。
なんだろうこの野良犬に餌をあげたみたいな気分は。



「そうだ、お返しは甘いものでいいからね」


「……………」



返事を待つ私に返ってきたのはポリポリポリポリとチョコをかじる音のみ。おい無視すんな。



「簡単でいいから甘いモノちょうだいよ、チョコもらったんだしさ」


ポリポリと噛み砕き口に入れた分のチョコを飲み込む。が、返事はなし。コ、コイツ…無視を決め込むつもりなのか…


「ねえ話聞いて……!」



「返しは甘いモノで良いって言ったな」


さっきまでのおちゃらけムードは何処へやら。なんだか低い声で囁くシェゾさんはしっかりと私の腕を掴んでいた。


引かれて飛び込んだ胸、そしてそのまま唇に落とされる唇。

唇が離れてもなお離さない腕に暗さをもってにやりとしたり顔で笑う顔。


甘いモノがキスとかベッタベタな癖に悔しいけど許せちゃうほどに甘くて無駄に格好良かった。





2012/02/14 *HAPPY Valentine's Day!
 
 
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