「本当に読むの?怖いんじゃない?」
「だいじょうぶ」
「虫捕り行ってくればいいのに…わざわざ怖いのにつきあわなくても大丈夫だよ?」
「だいじょうぶ」
静かにだいじょうぶだいじょうぶと繰り返すシグは若干震えている。
クルークに勧められた本を読むと言えば、シグは図書室までついて来てくれた。
ちなみに勧められた本というのは怖い本、シグは得意ではないのに頑として意志を変えなかった。
確かに時々一緒に本を読むけど、何も怖い本を一緒に読まなくてもいいのになぁ…
「じゃあ、ページめくるよ?」
「……どきどき」
ぺら、ぺらりと乾いた音が図書室に響く。
まだ、序盤。
怖くない……はずなんだけど。シグは私の袖を握り締めている。
もう一度大丈夫か問おうとシグを見ると顔をふるふると振った。
…言うだけ無駄なわけだね。
とりあえず震えるシグに少し距離を縮めて座った。
ページをめくる、どんどん物語は恐怖へと進んでいく。
暗闇の中、主人公の後ろ。
嘲笑うのは……!
「…恨めしやぁぁぁ!!」
「うわぁぁぁぁ!?」
「?!」
本を読む私達の後ろから高めの声が襲いかかった。
いきなりの襲来に横のシグと抱き合って叫び声をあげる。
後ろで笑っていたのはお化けでも何でもなく、秀才メガネ君…クルークだった。
クルークは如何にも楽しそうに高らかに笑いだす。
「うひゃひゃひゃひゃ!!
大丈夫かい?」
「…くっ、クルーク…?!」
「震えながらあの本を読んでたみたいだからちょっと驚かせてみただけなのに、それだけでびっくりするなんて子供だね!」
「…あの緊張状態でいきなり驚かされたら誰でもビビるって」
「いやぁ、見物だったよ!
あのナマエが叫び声をあげるなんてね!」
「…忘れて欲しいな…」
「しばらくは忘れないだろうね!あー、面白かった。
じゃあまたね、ナマエ。
怖いなら無理しないほうが良いよ?」
ふふん、と得意気にクルークは去って行った。
また図書室は静寂に包まれる。
それにしても性格悪いなぁ…クルーク。怖い本読んでるって分かってる癖に驚かすなんて。
シグなんか相当驚いたみたいでさっきから喋らない。
ん?
「もしかしてシグ気絶してる…?」
「………………」
「シグ、シグ?」
「………………」
シグはしがみついたまま、動かない。
特徴的なアンテナはしおれているように見える。
「…うーん、困ったなぁ」
やるせなく、暖かいシグの背をぽんぽん、と叩いた。
怖がり少年S
後日談。
起きないシグを待つのも大変だったけど、暫く物音にもビビるシグをフォローするのも大変だった。
え?クルーク?
後でお邪魔ぷよできっちりのしておきました。
一応少しすっきりはした。
*2012-01/15
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白糖さまへ!
シグは幽霊が苦手ということもあり、恐がりにしてみました^^恐がりな子って可愛いですよね!
そして、いつも拙作できゅんきゅんしてくれてありがとうございます!^///^
私も白糖さまが大好きです!
ありがとうございます!これからも頑張らせて頂きます!
リクエスト&コメントありがとうございました!