「ナマエちゃん、ナマエちゃん」


「うんー?」


「僕ね、今凄い哲学的なこと考えてたんだけど言ってもいい?」


「ふむふむ」



「その枯れ草色で分厚い面白くなさそーな本と、面白くて美しい男の子な僕どっちが大事なの?」


「ぶはっ!!」



読書を楽しむ私の元へいきなり現れた(どこから入ってきたか本当にわからない)エコロ。
もう少しで読み終わるし不法侵入犯だしまあ後回しでいいか、と放置すること10分弱。
エコロは構ってアピールからギャグ連発して私を吹かせようとしたり、りんごちゃんが呼んでると嘘をついてみたり多種多様な妨害をしてきたが、私は負けなかった。


が、今の僕と本発言は効いた。なんていうギャグだ。


「なに吹いてるのさー…コレすんごい大事な問題だよ」



「まさか“私と仕事どっちが大事なの!?”的な質問をエコロにされるとは思わなかったからね」



「そのまえりんごちゃんから聞いた」



「ああ、りんごちゃんね…
すぐ真似したがるんだから変なこと教えないでほしいな」

幼児が親を見て真似をしたがるように、エコロはりんごちゃんの真似っこをしたりひっついて知識を吸収したりする。
そのまえは…この泥棒猫が!とか言ってたな。ろくなことを覚えてこない。そしてりんごちゃんはりんごちゃんで年齢が危ぶまれるくらいチョイスが古い。

むぅぅ、と膨れっ面になるエコロ。


「僕を子供みたいに言わないでよー」



「子供みたいなもんじゃんか」


その膨れっ面や手足をぱたぱた動かす動作やら、この性格はまんま子供だと思う。



「ナマエちゃんが好きすぎるあまりに本来兼ね備える知性をぽーんって投げちゃっただけだから」



「うーん、残念。今のギャグは面白く無かった」


くるりとエコロの方を向いていた椅子を回して机に向き直って読みかけの本へ向き合う。

よし、あともうちょい。



「まだこの後に及んで読書を続行しちゃうのかナマエちゃんは」



「あともうちょいだから」


「…僕だって怒るからね」



「…?なんか言った?」



「……よーし!作戦決行!いっくよー!」



ぼそぼそと何かを呟いた後、いきなりの掛け声。


そして宙を舞う本。
瞬間的に後ろへ回される椅子。


エコロが私の本を投げ飛ばしたと気づいた頃にはエコロは椅子に座る私を机との間に閉じこめていた。
机にかけた手は上がり、頬へと。

優しくあてがわれた手といつもと違った本気の顔にどきりとする。



「…さっきの話ギャグとか嘘だと思ってるでしょ?」



「…前後にギャグとか嘘とかを挟んだから、そう思ったけど」


「あれは本気だよ。
僕がいるのに、ナマエちゃんが僕以外に構うのが許せない」

「……無機物でも?」



「うん、無機物でもね。
それに今ようやくナマエちゃんに触れまくれる体なんだから遊んで欲しいんだよ」



「…無機物でも、なら仕様がないか。
ほら、ごめんなさいのなでなでだよ」



「だから子供扱いしないでってばー!
もう怒った!さらに怒った!ナマエちゃんなんかぎゅーっしてやる!
ほーら、ぎゅーっ!」



「うわぁ、何いきなりっ」


いきなり腕をばっ、と広げて抱き寄せた。かなり力を込めて抱きしめる。

そしてぷんぷん!とでも擬音が出そうな位怒っている。
エコロらしい怒り方だ。


「僕は本気で怒った!
だからナマエちゃん今日はずっと僕とハグの刑!」


「えええぇぇ!また突飛な…」

「離さないからね!あはははー!」


私が困った顔をするほど楽しいそうに笑うエコロ。
困った奴だけど、彼が居る騒がしい時間を焦がれる私も私かな、なんて思った。







*2012-01/15
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匿名さまへ!

かわったエコロで甘い話ということでしたが…甘いですかねコレ…^^;


エコロはなんだか子供っぽいイメージがあって、表現も子供っぽくさせてみています。
なかなか楽しかったです!


リクエストありがとうございました!




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