るんるん、なんて口ずさんでしまいそうなくらいに気分が乗っていた。
それが多分今日最大の失敗。
こいつに会った時点で全力ダッシュで逃げるべきだったんだ。

***


レムレスに貰った今日のお菓子はアイス。
運動した後の体に気持ちいい冷たさで舌の上で溶ける。

レムレスに会えたのもそうだけどちょうど美味しいお菓子を貰えた私は凄く機嫌がよかったんだ。

あの目つきの悪い目がアイスじゃなくて私を睨んでることに気づかないくらい。


「……………………」


「どうしたんだい?紅い方のクルーク凄い顔してるよ」


「……お前に比べたら幾分マシな顔だ」


「相変わらず酷いなぁ」


もぐもぐとアイスを頬張りながらあやクルを見る私と凄い顔でこちらをじろじろ見る…というより睨みつけるあやクル。
バニラに隠れていたラムネが口の中で弾けた。


「あ!分かった!
キミ、私の食べてるアイスが食べたいんでしょ!」


「………………」


無言は肯定ともとれるぞ!そう思いあやクルを再度見やるとゴミを見るような目でこちらをさっきよりも酷く睨みつけていた。

ゴミを見るような目…いやゴミを見る目だ。
形容じゃなくて真面目にそうだよね、コレ。


「ちょ、せめて何か言ってよ!」


「“何か”」


「そうじゃない!!」


誰がボケろって言ったよ!
そろそろ視線で穴が開きそうです。私の身体に。


「さっきから何かを訴えかけるように睨みつけてくれてるけど、言いたいことがあるならはっきり言ったらどうかな」


「…………」

何も言わず睨むだけだったあやクルがようやくこちらに向き直って、

食べていたアイスを叩き落とした。


「……っ!?」

べちゃりと地面に広がるアイス。
……これはもう食べられない。

「先程言いたいことがあるならハッキリ言えと言ったな」


にやりと悪い顔。
嫌な予感しかしない。


「食え」


「食えるか!!」


「食べれなくもないぞ。
惨めたらしく跪き、犬のように卑しく手を使わず食べればいい」


「あやクルさん!?
何コレ怖い!何のプレイだよ!?」


「して欲しいのか?」


「何故そうなった!?
怒ってる?もしかして私がさっきアイス食べたいの?なんて生意気なこと言ったから怒ってるんですか!?」


じりじり間合いを詰めてくるあやクルさん…見たことないくらい素晴らしく(歪んだ)いい笑顔。

……え。
私どうなるんだコレ!
えええええ暗転とか笑えないよぉぉぉ!







楽しそうに菓子を食う奴を見て何故かとても腹立たしかった。
あの甘党にあいつが菓子を貰って嬉しそうにしていたのが気に障ったのか、それとも別の何かか。

菓子を叩き落とすと呆然とするナマエ。
目を白黒させて此方の顔色を伺い慌てる様子は可笑しく、私の中で揺らめいていた黒いものが獲物を見つけたようでにやりと笑った。


あわわわ、と退るナマエを追いつめ肩を掴む。
さあ、どうしてやろうか。



サディズムなキミ

さっきの顔と打って変わっていとも楽しそうに笑うあやクルをみて私は一つの性癖を思い出していた。
そう、みんながよくふざけ合いっことかで口にするSMのS。しかもドが付く方のサディスティック。

どうしてやろうか、と可笑しそうに笑うあやクル。
え、どうされちゃうの?




*2012’12/29

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紫翠さまに捧げます!


ドSなあやクルさんということでしたが…
…ぶっちゃけ通常運転な気がします。すいません!


拙いものですが捧げます!
リクエストありがとうございました。







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