最近クラスメイトがヘンです。




タルタルやラフィーナなど他の生徒と比べても比べなくても温和でのんびりほんわりで通っていたシグが最近おかしい。
アミティやリデルなどにはいつも通りなのに、私だけに何かおかしいというのがまた辛いところ。
なんというか、言葉がツンツントゲトゲしているような。
分かりやすく言えば見下しモードのクルークみたいな。


「授業中にぼんやりするなんて流石ナマエ」


「(うわっ考えてるそばから来たよ…)
……常時ぼんやりしてる人に言われたくないんだけど」


「うるさい」


「ひたい!ひたい!」

見た?見ましたか?!
本当のことを言っただけなのにほっぺ引っ張りましたよ!
しかも紅い方の手で。手加減?何それおいしいの?レベルで手加減出来てない。

超痛い。


「ごめんシグ、赤いペン貸してー?あと、ナマエ痛がってるよ…やり過ぎじゃないかな?」

「…アミティ」

前の席のアミティへとほい、と赤ペンを渡すシグ。
そしてアミティには聞こえないように小さく舌打ちをして手を離した。……助かった。


その後しっかりと一部始終を見ていたアコール先生に(何故か私だけ)当てられた。
答えは無論分からないので横のクルークに聞いて解答し、席に着いた。
ふと気が付くとシグがこっちを睨んでいた。
…まったくなんなんだ。



****
さっきの授業といいまったくついてない。
授業もシグからのツンツン攻撃も終わり、ようやく帰れると思ったらこの雨である。

傘なんて私が持ち歩いているわけもなく傘をさし笑顔で帰って行く生徒を見送るしかない。

…いっそどしゃ降りになる前にでも濡れるのを覚悟で帰るしかないかなぁ。
諦めて一歩踏みだそうとした瞬間、後ろで不機嫌な声がした。


「おい」


「あっ…シグ」


「なんで雨なのに傘もささないで帰ろうとしてるんだ」


「…別にシグには関係ないよ」

むぅ、と後ろでむくれた音がした。


「どうせ傘を持ってないんだろ。いつも変なことばっかり考えてるからそうなるんだ」


「そう言うシグは傘を持ってるの?」


「……………」


したり顔であげたその手には水色の大きめな傘。
うわ、何か悔しい。
これを自慢するためにわざわざ絡んで来たのか…本当にめんどくさいなぁ。
頼むから前の可愛いシグに戻って欲しい。


「……どうせナマエは傘を持ってこないと思ってわざわざ大きいのを持ってきた。
別にナマエの為じゃないけどわざわざ大きいのを持ってきたんだから、いっ……一緒に帰るぞ」


「え、ええっ?!」

予想外だった。
自慢しに来た訳じゃなかったんだ。

でも何だか気まずい。
授業中のこともあるし…。


と、そこにナイスタイミング、遠くの方でクルークの呼ぶ声がした。クルークは雨傘を2本持っているから恐らく私を探してくれている。



「……メガネ」


「クルークだね。
クルークは確か雨傘2本持ってたし、クルークに借りるからシグは別に気にしなくていいよ」


「やだ」


「えっ」


シグは私の腕を掴むとずんずん進んだ。
クルークの声が遠ざかっていく。
ああ、わざわざ探してくれてるのにごめんよクルーク。


「ちょっ、ちょっと待って!」


「やだ」


「な、何でさ」



「メガネが来たら持ってきた傘がむだになる。
それにメガネにばっかりいい思いをさせたくない。
だからメガネが来る前に帰るぞ」


「もっ、もしかして一緒に帰りたいの?」

そんなワケないよねー、ははは冗談だよ、と返そうとシグの方を向くと顔が真っ赤だった。

帰りもシグはそのまま真っ赤で無言のまま私の腕を引いていた。

今までのシグの奇行の意味を理解し、にやにやしていたら、またほっぺたを引っ張られたけど今日の授業みたいなツンツンした気持ちは感じなかった。




水色ハートを傘のてっぺんにのっけたら


相合い傘。


*2011’12/20

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和菜さまへ捧げます!

毎日来て下さっているなんて…とても嬉しいです!
ありがとうございます!

シグは多くは語らない子なのでツンデレが難しくもありましたが楽しかったです!
新境地でした。
楽しめて頂けたら幸いです!

こんな拙いものですが捧げます。リクエストありがとうございました!






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