その前手をぶつけて青なじみを作ってしまった。
もう痛みは無いにも関わらず気になってしまっているのはもう癖なんだろうな。


ちらちらと見ていると隣に居たあやクルは何事かと此方を見つめていた。


「どうした?」



「ん?ああ、これね」



袖元を捲ってあやクルに見せた。
それは青というより紫に近い色で肌に浮いている。



「その前何かにぶつかったか、転んだんだっけ。
痛くはないんだけど痛かった時の癖で気になっちゃうんだよね」



「…凄い色だな」


まじまじと見つめてみると何処かで見たことのあるような感じだ。

あ、思い出した。その前クルークに見せてもらった天体の本で見た星雲みたいなんだ。
かに座だったかな?


「これさ、何かの星雲みたいだよね。
星雲といえばクルークだね、天体でこれ自体も紫色だし」



クルークといえばその前面白いことがあったなぁ…話したらあやクルも笑ってくれるかな、なんて思って口を開いてあやクルを見た。


瞬時に口は閉まった。
何故ならあやクルは無言で此方を射さすように睨んでいたから。



「…随分と楽しそうだな」



「う、うん、今からクルークの面白い話をしょうと思ってね」


読んでいた本を乱暴に閉じる。本を愛すあやクルにとってそれは相当怒っていることを意味する。


座っていた椅子から立ち、びくびくと座ったまま視線を追っている私を机との間に挟んだ。
凄い音を出して手を机に置いたから耳がぴりぴりした。

立っているあやクルと座っている私。とても動けない私をよそにあやクルは距離を詰める。


そして青なじみのある方の腕を掴むと袖を捲って、いきなりそれに噛みついた。



「…………いっ、!?」


「…………………」



ぎちぎちと音を立て噛んで、離した。ぺろりと傷を舐める。それだけでも少し痛かった。


離されたそこは紫を押しのけうっすらと血が滲んでいる。


満足したのか腕を離すとその手はくいっと私の顎を持ち上へ向かせた。
乱暴に押し当てられた唇からは血の味がした。

苦しい、と胸を叩いてもなかなか離してくれない。


ようやく離れ肩で息をしていると、両手はすっかり拘束されていた。

そのまま口を耳に寄せて呟いた。


「…お前は私だけ見ていればいい」



私からは見えないその顔はきっと苦しく歪んでいるんだろう。


ああ、また分からない。
また彼を不安にさせてしまう。

語彙の少ない私はこういう時に何を言ったらいいかも分からない。
絡められた指をぎゅっと握った。


あやクルは一時停止してからちゃんと握り返してくれた。
その手はとても冷たかった。






2012/02/04
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がーにゃさまへ!


あやクルさんで嫉妬微裏or甘ということで嫉妬微裏にしてみましたが如何でしょうか?

ちょっと裏成分が足りなかったかな、と少し思いましたがあやクルさんを噛ませることが出来てちょっと楽しかったです^^


コメントもありがとうございます!がーにゃさま含め皆様のおかげでこんなにはやく5000打を迎えることが出来ました!
これからも皆様が楽しめるような作品が書けるよう頑張ります!


リクエストありがとうございました!
そして大変遅くなってしまいすいませんでした…!
拙いものですが捧げます!








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