※かなり不道徳な話
何でも許せる方、大丈夫な方のみどうぞ。
タイトルで察しがつく通りグロテスクに入るかもしれません。








にこりと笑って振る舞う男は誰から見ても好まれる容姿と性格をしていて現に誰からも好かれているように見えた。
少なくとも私以外は。



レムレスと名乗る良い身なりをした紳士は事実上私の婚約者である。
数カ月前私に惚れたと現れ始めてから、怪しむ両親を懐柔しあれよあれよという間に親公認の仲にされてしまった。


容姿性格共によく、財力もあるこの男はただの町娘である私には二度とないくらいの好条件かもしれない。
けれど私は何故かレムレスを好きになれない。
会う度に彼からは背筋が凍るような気持ちの悪いものを感じるのだ。暗くぞろぞろと這いずり回る、なにか。
それを感じているからこそその貼り付けたような笑顔が怖い。


そして今、何のアクションも起こさない私に業を煮やした彼によって彼の家で結婚前に暮らすことになってしまった。
只今レムレスは出掛けている。


今がチャンスだと思う。
彼の家への道中には用心にと豆を蒔いて来たのだけれども、何日もすれば鳥に食われてしまっているだろう。そしてそろそろ道のりを忘れそうなので彼の居ないうちに代用品を見つけ、道に撒いておきたい。

彼のタンスや物入れから代用品になるような物を探った。
天井裏の収納を探るとからんからんと軽く何かが鳴った。
確認しょうとその何かが入った袋を引っ張り下ろそう…として失敗、袋が重くて袋口を下に落下、中身が床へと降り注いだ。

からんからん、からりと床を踊るそれに心臓が止まるかと思った。
うっすら赤みを帯びた白色の固い、葬式場でしか見る場所がない死の象徴、骨だったから。


ぽかんと思考停止をしていると、いつもの甘ったるい声が玄関から聞こえ現実に引き戻された。
まずい、まずい、まずい!
がしゃりがしゃりと袋に詰めるけど何処に居るの?と声は近づいてきている。

かちゃり、と私と彼を挟んでいたドアは開かれてしまった。



「ただいまナマエ。
どうしたの、顔が青いよ?
気分が優れないみたいだね」


「…………う、え」


吐きそうだ、一面骨の海だというのに何でこの男は笑ってられるのか分からない。
吐き気を抑えてレムレスを見上げる。

くすくすと笑うレムレスはいつもの何倍も、怖い。



「もう見つけちゃったか、早かったね。もう少し大丈夫かと思ってたけど」


まあいいか。さもどうでもよさげに呟く。
私はようやく喉から絞り出すように声を出せた。

「…これ、」


「えっと、この骨のこと?
僕が食べた後だよ。
骨も食べるひともいるようだけど僕は流石に骨は無理だったからとりあえずしまって置いたんだよ」


「………!?」


がたがたと震えが止まらない。レムレスが何を言っているのか分からない。
理解して、ようやく自分の感じていたものが分かった。


「ああ、ごめんねナマエ。
怖がらせるつもりはなかったんだけど、やっぱり怖かったよね」



ゆっくりと私を引き寄せて抱きしめた。
こんなに近くで鼓動を感じられるのに身体は死んでいるかのように冷たい。
大丈夫、大丈夫だよと宥めるけど震えが収まっても恐怖は止まらない。



「大丈夫、今はまだ我慢出来るから。
それに今回は食事じゃないしナマエを愛してるから直ぐには食べないよ、直ぐ食べちゃったら寂しいからね。

…でもナマエ可愛いからいつまで我慢出来るかなぁ」



抱きしめたまま未だにくすくすと笑うレムレスに私は抵抗する気も起きずただただされるがままにそのままだった。皮肉にも転がっていた誰かの指には婚約指輪が光っていた。





2012/03/01
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元ネタ:強盗のお婿さん
ショッキングな話でも大丈夫で詳しく知りたい方はぐぐってみて下さい。

元ネタといってもかなりこの話用に色々と歪めたので既にオリジナルでカニバリズムなレムレスさんの話である/(^^)\シマッタ

強盗が一般的だけど王子様だったバージョンもあると知りなかなか燃えました。結局王子様にはしませんでしたが。


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