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どーん。どっしり。ででーん。

目の前でそんな効果音をだしそうな荘厳な雰囲気を醸し出すそれを見ながら、旅人というと語弊が起きそうな位まったく別の場所に行く気のないらしい時の旅人のエコロから聞いた話を思い出した。
またりんごちゃんたちの所に行って帰ってきたらしいエコロ曰わく、りんごちゃんたちの国には国を代表する塔があってそれがめちゃくちゃデカくて格好良いらしい。が、最近その塔にライバルが出てきてしのぎを削っているらしい。双方デカくて、新参者の方は634mもあるらしい。

634mって未完の塔よりデカいのかな。そんなことを思いながら、心持ちで目の前の塔…みたいなパフェを見つめた。注釈、デカいけどパフェです。椅子に座った私の頭より大きいパフェ。てっぺんには苺とチョコソースと生クリームとカスタードクリーム。
そのパフェたちの間からにこにこと嬉しそうな先輩が見える。凄く嬉しそうだ。


「……すごい大きいのを沢山作りましたね」


「うん、ナマエが来てくれるって思ったら嬉しくなっちゃってね」


「そうですか…」


やっぱり威圧感を出すパフェをどこから制圧しょうかとスプーンを握りしめたら、レムレスはにこにこしながら大きくて長いパフェ用のスプーンをくれた。
まず大きくて柔らかい苺を頬張り口に酸味が残る内にクリームを掬って口へ。でろんでろんのチョコソースときらきらのアラザンと一緒に中間のスポンジをかじった。フレークは溶けたアイスと一緒にぼりぼり咀嚼。必死で食べる私ににこにことやっぱりレムレスは嬉しそうだ。手袋は外さないままに自分の前のパフェをゆっくり優雅に食べている。しかしまだ底が見えないパフェを相手に私は余裕がない。甘い顔をするレムレスをおいて甘いそれらと格闘していた。




ようやくパフェ容器の底が現れた頃には私のお腹はぱんぱんだった。口が甘い。とてもヘビーなおやつだった。夜ご飯いらないかな、もう。


「ごちそうさまでした…美味しかったです…!」


うぷぅ、げっぷにも似た吐き気が這い上がってきそうなのを必死に我慢した。置いておいたタオルで口元を拭こうとするとレムレスはそれをさっと取り上げてこっちを寂しそうに見つめてきた。


「もういらないの?」


「え、ええ、お腹がいっぱいなんです」


「こんなにいっぱい作ったのに残念だなぁ…
僕パフェ大好きだから、ナマエも大好きになって欲しいって思ったらついいっぱい作っちゃったんだよね…もしかしてナマエパフェ嫌い?」


ずっきゅーん。
今まさに私のどくどく波打つ何かに鋭利な何かが刺さった!
捨てられた小犬みたいに、頭を下げてしょんぼりするレムレスにちょっと可愛いとか思ってしまったのだ。なんでだよ私!
レムレスさん年上だし先輩だし第一男の人なのに可愛いとかなんでだ!


「…嫌いじゃ、ないです」


「良かったぁ。じゃあまだ食べられるかな?無理しないでも良いけどナマエにもっともっと食べて欲しいな。ほら、」


お菓子は別腹っていうから大丈夫だよね、さっきのはあれだよ、メインディッシュだ!多分。


「まだ、いただきます…!」


「わあ、嬉しいなぁ。お菓子食べてくれるナマエ大好きだよ」


レムレス大好きなあまり頑張ってパフェかっこむ私には残念ながらそんなレムレスが大好きって言った言葉は入らなくて後々レムレスはまたしょんぼりするんだけどそれもご馳走さまってやつだよね。



私の先輩がこんなに可愛いはずがない
(美味しいとかヘビーとかそんな状況じゃないよスカイツリー)



2012/09/07
ちょっと危ないレムレスさん目の前に今日も元気だパフェがうまい

 
 
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