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「ナマエ、起きて」


「……あと1分」


「…キスしちゃうよ?」


「おわあああおはよう!!!」

「うーん、そんな反応されちゃうと傷つくなぁ……。
おはようナマエ。」


飛び起きるような言葉をかける悪趣味男、レムレスは毎朝毎朝ご丁寧にベッド前まで来て起こしに来てくれる。

いつもと同じように笑みを絶やさない表情がにやけ顔…にまにまと崩れているのが分かる。
他の人に言っても分かってはくれないけど嫌というほど一緒に居るので何となく分かってしまう。


しっかしまあ暇な奴。


「今日の宿題ちゃんとやった?
やってないなら僕が教えてあげるけど?」


「残念だったね、ちゃんとやったよ!」

レムレスに教わって大変なことになったのを忘れてないからちゃんとやるのを忘れない。
そしてレムレスに教わる位ならクルークに教わる。
年下に教わるのもどうかと思うけどそれ以上にトラウマなのだ。ほんとに。



着替えるタイミングが分かっているらしいレムレスはそっと部屋から出て行った。それを見計らった私もすぐ着替えを済ませ、リビングにて朝食を準備する。

レムレスはもう食べてきたらしく、椅子に座りこちらを待っている。いつものことだけど暇だからといって食事中にじっと見つめてくるのはやめて欲しい。

こぼしたよ、とかほっぺについてるよ、とか誰のせいだ、誰の!

とても身体によくない食べ方で朝食を済ませ、皿を片付けた。
衣服を払い、忘れ物がないかバックを確認し靴を履く。

いつの間にかドアの前に移動していたレムレスはとてもとても邪魔だ。前に立たれてはドアは開けられないし、通れない。



「レムレス、そこ出るか避けてくれないかな」


「うーん、やっぱりさナマエ、今より昔の呼び方で呼んで欲しいな」


ドアの前でなにを言い出すかと思えばそんな下らないことか、と私の眉間に皺が寄る。
ほんと朝からマイペースなやつだ。
ていうか邪魔。


「やだ」


「だって昔の呼び方の方がナマエ可愛かったし、そう呼べるのはナマエだけなんだからそうして欲しいんだけどな」



「やだ」



頑なに否と応える私に何を勘違いしたか、何か対価がないと駄目なんだね…とぶつぶつ言い出したレムレスに私は面倒くささに負けた。



「はいはいレムレス兄さん行ってきますよっと」


「あれ?お兄ちゃんだったよね?」


あと行ってきますのちゅー忘れてるよ?なんてはにかみいい笑顔で言いのけた愚兄を放置して家を飛び出した。まあ先に出たところで目的地は一緒だからあんまり意味はないのだけどね。

しかしまあレムレスは女の子に飢えてるとみた。
だからといってだな、実の妹を対象にすんなと言いたいものだ。昔からだけど増して酷い。



なんて考えごとはそろそろやめて本気で走ろう。
そろそろほうきで追いかけてきた愚兄が追いつく頃だ。



*2012/04/08
生まれて生きてきた年数がレムレスと一緒に居た時間。




 
 
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