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変なやつだと思った。



見目が大変美しいわけでもなく、どこか特別に秀でている場所があるわけでもない普通の女だ。
そんな平々凡々な筈のナマエは私には謎だらけだ。理解し難い。

私の魔物たる証の纏う紅を綺麗だと言い、しまいには私が魔物であると明かしても私の元を去らなかった。
そうだったんだ、なんて少し笑って終わりだった。


ヒトの声に安心するなど私らしくない。しかし何故かナマエの声は頭から離れようとしてくれない。まるで毒のようだ。


白く滑らかな頬に手をあてがい首元まですっ、と撫でた。
ナマエはくすぐったそうに肩を震わし此方をゆっくり見つめた。




「……お前は、魔物など選んで良いのか」


どうしょうもなく頭を巡る問いは遂に口から溢れた。
漏れた声にはっ、と頭を上げるとナマエは迷いもなく頷いた。


お前だったら私を受け入れると思ってしまう。
どうしょうもなくナマエへの思いは止まらない。




「…お前は凄いな」


「私は普通だよ」



その普通に何度救われたのだろうか。



盲目


お前しか見えない。




*20120115




 
 
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