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とても美しい人でした。


さらりと舞う髪もシニカルに笑う口元も妖しく光を灯す瞳も元は級友のものであると知っているのに、魅入ってしまう。

彼の本体と言える紅い魂に包まれた肉体はきっと見た人を魅了するものがあるんだろう。

彼の姿は毒のように私の目から脳に伝わって麻痺させていく。
まばたきすら許さないくらい。

頬に当てた手は優しく首元まで撫でて定位置に戻った。
伝えたいことはたくさんあるのにまるで口が動かない。
言葉すら必要ないと思ってしまうせいもあるかもしれない。

憂いを含んで紡いだ問いに私は頷く。


そんなものとうに答えが出ていたよ。

それにきっとキミが私を引き裂きたいと言ったとしても、壊したいと言っても頷いてしまうんだろうね。


その行為すら愛を感じてしまうのだろうから私はもうキミしか見えていないのだ。



「…お前は凄いな」


「私は普通だよ」


只キミに魅了されただけの人間だよ。




盲目


恋…?いいやキミに盲目なの。



*20120115


 
 
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