short | ナノ





「つーまーらーん」

「人を抱え込んで弄くりまわしながら言うセリフですかそれは」


見上げて聞くとシグはつまらないものはつまらないんだ、とでも言うように眉を下げた。

人に優しくない冷たいこの季節は彼の愛するムシにも優しくなかった。
ムシが少なくなる冬はシグにとってとてもつまらないものらしい。
夏を過ぎてからの下降気味のテンションを見れば火を見るより、である。



「うーん」

「うわっ、頭ぐしゃぐしゃにしないでよ」


「じゃあほっぺ」


「むわー、ひっはふなー」


後ろからぐしゃぐしゃと髪をいじくったと思えば、次は頬を引っ張った。
やめて、と言えば攻撃が止み静かな寝息。
………寝息?


「おーい、シグ?」


「…………ZZz」

「寝てる…」


完全に寝ているのを確認すると起こさないようにゆっくりとシグの方へともたれかかった。

シグにはちょっとかわいそうだけど、恋敵のいないこの季節がもう少し続いて欲しい。

外で風の音がした。






*2012’1/3(アップ日)
*拍手設置期間
2011’11/21〜2011’1/3
------------
拍手お礼だったものA




 
 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -