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寒い風が吹く家路を経て、ようやく愛しの我が家。
よし、あたたかいお茶を飲みつつお気に入りの本でも読もう。
ただいま、とドアを開ける。



……………。


「お帰りー!ナマエちゃん!寒かったでしょ?ご飯にする?お風呂にする?それともぼ……」


ばたん!!
わ、我ながら落ち着きのないことをしてしまったな…ははっあれは幻覚だ、そうだよ疲れてヘンなものが見えているだけ!

もう一回ドアを開けたらキレイに消えているんだ。
うん、きっとそう!


「なんでいきなり閉めるの?ひどいなぁ、びっくりしたじゃないか!」


ドアの前でよくわからない表情でゆらゆら浮かぶ黒い影は幻覚でも気のせいでもなかった。

紛れもなく自称時の旅人、通称よくわからないものエコロである。


さて、


「疲れすぎてるようだ、寝よう…おやすみなさい」


「寝ないでよ〜僕つまんない」

ぽこぽこ肩を叩くエコロ。
頬を膨らませた子供のよう。

「じゃあ聞くけど、なにしにきたのさ」


「ナマエちゃんで遊ぼうと思って!」


「……………何だかとっても眠いんだ…」


「冗談だよ、冗談!寝にいかないでよ」


「明らかに本気入ってたよね、冗談じゃなかったよね」



「あ、そうだった!僕ナマエちゃんに言わなきゃいけないことがあって来たんだった!」


「ん〜?」



「僕、そろそろこの時空じゃないところに行かなきゃいけないみたいなんだ」


「え?」


「だから最後にナマエちゃんにさよならを言いに来たんだよ」


「ほん、とに?」


「寂しいけど、ばいばいなんだナマエちゃん」


切ない気持ちになっていた自分に気づいた、もしかして私は…、……
エコロの手ととれるところに手を重ねた。
温かみはなく、よくわからない感触。


エコロはそのまま私を腕と腕で包み込んでわはは、ナマエちゃん暖かいね、と笑った。


「行かないで欲しい、かもしれない」


「じゃあ、やめる!」


…………え?



「今なんと、?」


「だから、うそだよ!ナマエちゃん面白い顔!今回のドッキリは大成功だね!ハグ出来たしナマエちゃんの面白い顔も見れちゃった!」


だ、騙された。
けど、何かくるものがあって何故か怒る気になれなかった。




ラブリートリック!


*20111116


 
 
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