大好きな彼が黒くなりました。
「んーと、これはアレだ」
「?」
「大好きなクワガタにフォルムチェンジしたんだね?」
「クワガタよりカブトムシが好きだ」
「そっかぁ」
………いやいやいや!!
「何で黒くなってるのさ!?」
「わからない」
首を傾げるシグ。
本人もわからないとなると…
「またあの怪しいやつに何かされた?!」
「わからない、何かヘン」
うーん…
「ムシ、好き?」
「ムシ好きだ」
そうか。
「じゃあいいや」
「なんでだ?」
「キミがキミであって変わってないなら別にいいよ。キミはシグでしょ」
「うん」
「まあでも黒より青いほうが好きかもなぁ」
「ナマエ」
どうしたものかとぼー、としてたらのったりと此方に近づき手を広げ私を引き寄せた。
「おおう、いきなりのハグはびっくりするから声掛けてよ。…って掛けたね」
「かけた」
ぎし、ぎし…みりみり。
さて、これは何の音かな?
「うーん、前言撤回だ。あんまり良くないかもしれない」
「?」
「力の加減が出来てなくて骨が折れそうだ…」
正解は私の骨が軋む音だ。
名残惜し気に離した黒い手の陰から見えた自分の肌は彼の手の痕がくっきりと浮いていた。
「力があふれてくる」
「どうすればいいか分からないから仕様がない。ちょっと走っておいで。力出し切ってきなよ」
「やだ」
「えー」
*20111019
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某サイト様でクワガタと仰っていたのにたぎって書いた。
ただ黒くて力が溢れているだけという概念で書いたのでつまり何も考えておりません。