「暇だ…」
「暇だね」
今日は学校が休み。
外で思いっきり遊びたいのだけれども、あいにくの雨である。
クルークの家に来たときはまだ小降りだったのに今や大雨。
身動きがとれなくなってしまった。
「何か面白い本とかないの?」
「その前見せた本で最後だよ、新しい本は」
「えー、あれかぁ」
「暇だね」
「うーぐー…」
暇、暇だと言い合いのループ。
生産性が無いなぁとクルークが呟いた。
「あ!そうだ!」
「ん、何だいナマエ」
「クルークのいつも持ち歩いてる魔導書貸して!」
「何する気?キミじゃあまだ難しくて読めないよ」
「読まないよ」
もっとおもしろいことしょう!
魔導書をぱっ、と開ける。
いつものあの赤いタマシイがしかめっ面で顔を出した。
それを指でつまんだり、軽く引っ張ったり弄くってみる。
赤いタマシイは驚き顔で此方を見た。
「いつも偉そうなこいつをいじめようかと思ってね!」
「キミは本当に馬鹿だなぁ」
「そう言いつつやりたそうだね。ほら、やればいいのに」
「しょうがないなぁ。ちょっ、ちょっとだけ…」
結構な時間2人であやクルを引っ張ったり伸ばしてみたり撫でてみたり弄りまくっていた。
ふと気が付いたらいじくっているのは私だけでクルークは寝入っていた。
「むむ、1人で気持ちよさそうに寝ちゃってさ」
まあ、いいか私も少し寝るかな。
ゆっくりと目を閉じる。
ふと、気がつくと物音がして目の前に影がさした。
微かに重みを感じて目を開けると、ソファーにもたれ掛かる私に馬乗りになり赤いクルーク、もといあやしいクルークが怪しげに笑っていた。
「や、やあ元気そうだね…」
「よくもこの私を弄り倒してくれたな」
進行を止めようと上げた手をいとも簡単片手でまとめ上げた。げげっ。
「十倍返しだ。楽しませてもらおうか?」
意地の悪い顔をより一層近づけ、笑う。
も、もう駄目、と思った刹那。
とさり、とあやクルは私に重なるように倒れてきた。
聞こえてきたのは微かな寝息。
…………。
「クルークが寝てるときに体を支配したから眠気に耐えられなかったのかな…?」
「……ナマエ」
「………うーん」
それにしてもどうしょう。
雨の日
*20111014