●シェゾさん
「お前が欲しい」
「何で?」
「なんかこうアルル(みたいにガードの堅い奴)じゃなくて(ガードと頭の弱そうな)お前がいい」
「何となく一緒に居たからキミのすっぽ抜ける言葉が分かるようになったんだけど」
「なっ…!」
「側室よりも悪友でいさせて欲しいなぁシェゾさんよ」
「そそそそそんな目でお前を見てなんてないぞ!」
「アルルで色々失敗した後私んトコ来るもんねぇシェゾさんや」
「それのシェゾさんっての止めろよ…うぜぇ」
「わざとだよばーろぅ」
「側室と聞いて来たのだが呼んだか!」
「「呼んでねぇよ色ボケ魔王」」
シェゾさんとこじれた
●犯人はお前だ!
むせかえるような甘ったるい匂いでまるでおとぎ話のように美化されているが、そんなこと許してはいけない。どんなに綺麗に苦しみなく飾り付けられたものであってもひとが一人死んでいるのだ。どんな過去があろうとどんなに可哀想であっても許してはいけない。同情する余地など探せば誰にだってある。でも道理を外れた時点で情は頭から外さなくてはいけないのだ。
そう思考するより先に、そうシャットアウトをするようになった脳内で私の目の前で笑う青年の薄い声が響く。
「キャンディもチョコレイトもクッキーもあるよ、ひとついかがかな?」
「いいえ」
装飾されたフォークや皿、それ自体が装飾のようなきらびやかなお菓子たちを嘘臭い笑顔は勧める。座っている椅子も後ろの窓だってみんな古風に美しいものばかり。真ん中の青年を取り入れようやく出来上がった絵のようだ。手のひらサイズの宝石たちを口に放り込む手を止めて、目の前で組んで顎を乗せた。すっと笑顔が抜けて無表情になる。
「甘いものはきらいかな?」
「教える筋合いはないけど一つ言わせてもらおう、私はどんな甘いモノより貴方達の苦い顔が大好きだ。
その宝石たちとのお別れ会は済んだかな、レムレスさん?」
ふうんと興味なさげに返事をした犯人に私は相棒の飴色をした虫眼鏡をかざし、にやりと笑ってみせた。
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「〜みたいな探偵になりたい」
「僕にどうしろっていうの」
「なんかこう、レムレスって身近な犯罪者っぽい人だから例えばでね、」
「ひどいや」
「あとフェーリちゃんに依頼したらいいですよって言ってくれそうだし」
「なにがしたいの…
ていうか、#ナマエ#。魔導で隠蔽でも何でも出来るこの世界で探偵ってあまりにも悲惨だと思うんだけど」
「!!!…………………………さん」
「だっ…だいじょうぶ?」
「許さん」
夢を壊しやがって許さん