*クルーク携帯を買おうとして間違えてあやクル携帯を買ってしまった的なノリ


「………………」

「………………」

今流行の人を模した携帯を買ってみたのは一週間前くらい。人(みたいなもの)をわざわざ携帯ショップから連れ帰るのは恥ずかしいので便利なネットで買い、配達してもらうことにした。
私が頼んだのはKL9型通称クルークと呼ばれる少し意地っ張りな性格の眼鏡の少年だったのだけど…今日配達され届いた携帯は目つきの悪い頑固そうな少年だった。私が頼み間違えたのか誤配送なのか覚えがないから分からない。彼は私がうむむと考えこむ前からこっちを睨んで顔を逸らさない。

「……えっと、」

沈黙に耐えかねて声を出したものの、私は目の前の彼を何も知らないのだ。何も言えることはなく言い淀む。すると彼は呆れたようにはあとため息を吐き、つらつらと語り出した。

「STR9型」

「エスティーアール?」

「KL9型のバージョンアップ版と作られたものだが、扱いづらいと返品多数」

「え」「ちなみにカメラ機能はない」

「そ、そうなんだ…」

「返品するなら早めにしてくれ。面倒だ」

「えっと、返品はしないと思うけどなぁ…せっかく買ったんだし」

だって携帯ってそういうものだと思うし。年単位で持ち続けるものだし、使い続ければ不便さも可愛らしく思えてくるものだと私は思うのだ。
ちらりと外していた視線を上げてそのSTR9型くん(仮)を見れば、ぽかんと口を開け目をまんまるにしていた。さっきからキツかった表情から変わって、見えた今の表情は普通に可愛らしい少年だった。ああそんな顔も出来るんだなあと思ったのも束の間、フッと鼻で笑い「皆最初はそう言う」とか言って目を逸らした。


*名前をつけてみよう

「(STR9型じゃあ呼びづらいしなぁ…)」

「なんだ人の顔をじろじろと」
「名前どうしょうかなって」

「私は犬かなにかか」

「だってこれから何年もお世話になるんだし流石に機種名じゃあ呼びづらい…」

「………」

「あやクルでどうだろう」

「…勝手にしろ」


*何年後かのデレ期はすごい

ふらりといきなりあやクルが隣の部屋から出てきた。此方と目を合わせないままに小さく呟く。

「お前が読んでいた本の新作が出たようだから図書館に予約を入れておいた」

「! ありがとう!」

彼の優しさがわかりやすく発揮されるのは本の分野が多い。余談だが彼が読んでいる本は難しいが当たり外れなく面白い。
未だに目を合わせなかったりするがそれは彼が恥ずかしがり屋だからだと思う。



*王道:嫌いなやつとの連絡を阻止

「ねえ、まだレムレスから返信来てないかな」

「さあな」

「あやクルがレムレス嫌いなのは分かるけど、連絡しておかないと困るんだってば…」

「知らんな」

「お願い、あとで何でもしてあげるからレムレスとの連絡絶つのやめて」

ニヤリと口角を上げて笑うあやクルに頭が痛くなりつつ私はお願いをした。最近主従が逆転してる気がする。おかしいな。

「…9:00に学校前集合だと」

「ありがとう、レムレスは他に何か?」

「特筆する点は無い」

要点しか教えてくれないのね。はぁ、とため息をつきながらソファーに座って本を読もうとしていたら目の前に影。あやクルがにやにや笑いながら立っている。奴は本を奪ってそっと床に下ろしてから、私の指に自分の指を絡めてきた。

「えっと、あやクルさん?」

「さっき何でもすると言った」
ああ揚げ足とりが上手いというか何というか。そのまま流される私も私だけど彼も彼だ。




*デレというかいちゃいちゃ

「あやクル、シグと電話させてくれるかな?」

「ああ了解した。
しかしだな、最近私も悪くなってきたようで聞こえが悪い。近くに寄ってくれないか」

「えーと、この位?」

彼の隣に座る。と、いきなり腰に手をやり抱き寄せてきた。恥ずかしさから暴れて抜けようとするがあやクルの腕はがっちり掴んで離さない。こうなったらさっさと終わらせてしまうのがいいかもしれない。こみ上げる恥ずかしさに耐えながら電話をする。


「要件は?」

「…明日の宿題やったか聞いて」

「まだやってないと」

…いちいち耳に口を近づけて囁くないで欲しい。もう顔が真っ赤になっていると自覚しながら電話を終わらせた。ほんの些細な会話でもこんなんじゃ身が持たない。

「電話ありがとう、もういいから離して」

「嫌だ、と言ったら?」

にたりと口の端を歪めてきゅうと腕の力を強める。何で今日のあやクルこんなに甘えたで我が儘なの。抵抗しても叶わないと知っている私はへにゃりと力を抜いた。でもそのままあやクルの思い通りになるのは癪なので返事はしない。
そのままぺたり彼の胸に顔を押し付けた。にやにや顔を見られるのもいらっとしたからだけどそれもあやクル的には喜ばせる要因のひとつみたいでもうなにがなんだか状態だった。

よくよく考えなくともあやクルさん携帯だよ、これ不毛なやりとりにも程がある。






飽きたのでおしまい。人外(機械)×人間っておいしいね。機械だとなお切ないね。
ちなみに、余計な設定↓

あやクル携帯
・ルックスで買う人は多いが扱いづらいと返品多数で持ってる人が極端に少ない
・読書機能が凄いと見せかけて電子文庫は邪道らしく、電子書籍を買おうとするとわざわざ本屋に行って現物を買ってくる頑固者
・カメラ機能おサイフ機能なんてない
・お掃除は見てない時にする(要するに殆ど出来ない)
・愛が重い


ちなみにSTR9型っていうのはstrange(意:怪しい)から9はクルークの9

長い上ただの妄想でした!ここまで読んでくれた方はお疲れ様ですありがとう!(^o^)

 
 
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