『いらっしゃいませ。ご注文はお決まりですか?』


 にこり。といつも通りの接客の笑みを張りつけて注文を伺えば、割と常連客な青年は珍しい注文を口にした。

「アーモンドトフィートリプルチョコレートフラペチーノ、トールサイズをお願いします」
『(――ん?)はい。アーモンドトフィートリプルチョコレートフラペチーノトールサイズをお一つですね』

 不思議に思いながらも注文を繰り返してお会計への流れへと続けば、彼の後ろにいた同僚である爽やかな男性(彼も常連客で、確か名前はタザキさん)が「今日はコーヒーじゃないのか」と珍しげに尋ねた。
 そう、そうだ。いつもならドリップコーヒーのトールサイズとサンドイッチを頼むのに、今日に限ってフラペチーノとは一体どんな心変わりだろうか。

「実はさあ、最近イイ感じの女の子にスタボの最新作美味しいんで是非飲んで感想聞かせてください!って言われちゃってさ〜。頼まれたら飲むしかないだろ」
「女の子のことになると身体張ってるな…」

 若干呆れ気味のタザキさんに同感とばかりに内心で大きく頷く。本当にこの人達ときたら店に来るたび女の話で盛り上がっているんだから…。まあ、二人とも顔は上の上、性格はどうあれ飛びつく女は山ほどいるでしょうし、より取り見取りなんだから結構な遊び人なんだろう。

 お会計を済ませて受け取り口への案内をした後、同僚男性の注文も同じように済ませる。





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