そのただー | ナノ





神さまでさえ、こんなに穏やかな表情を浮かべて眠る研磨を見たことがないだろう。ていうか、いるとは信じてはいないけど。
普段は周りの様子を窺っている目はしっかりと閉じられている。それと対照的に、唇はうっすらと開いている。ちょっと、エロいぞ研磨。
きっとこの唇に重ねたらさぞかし幸福なことに違いない。なんて、本人に告げたらどういう反応を返してくれるのだろうか。呆れる?照れる?はたまた無視する?
どれにしても俺は何でもいいのだ。とにかくこの目の前で健やかな寝息を立てる彼に触れることが出来ればいい。だから、俺は顔を近づけてキスを試みたが、見事にそれは失敗した。
「何してるの、クロ…」
「ちゅー」
「………」
どっかのドラマかと思うくらい研磨はタイミング良く目を覚ました。ちなみに正解は呆れるだった。溜め息を漏らし、俺の首の後ろに手を回してきた。おや?
「…はやく、ちゅー」
「……俺、血液より唾液になりてえ」
「気持ち悪いこと言うならこっちからする」
気持ち悪くないだろ、と反論する間も無く研磨の顔が近づいて重なった。あ、でも唾液になったら研磨とキスが出来なくなるのか。それは嫌だなあとふわふわする頭で考えていた。

浮遊

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