その他 (4/4)
バッド・エンド

「不吉なことがあった」
深刻な顔をしながら遙はぽつりと呟いた。宗介はそれを尻目に、色鮮やかな折り紙を折る。端と端がずれないように。僅かなずれはのちのちに面倒なことを引き起こすから。
「茶柱が立った」
「いいことじゃねえか」
「それも4本すべて」
「……おう」
それは確かに、と顔を歪めた。古来の考え方……と言っても、今でも残っているが四は死と同じ読みを持つ。たとえ茶柱が立って縁起が良くても、四という数字に引っかかる。
「あと黒猫と白猫が同時に横切った」
「それは微妙だな」
「宗介もないのか、そういうの」
突然話題を振られて、折り紙を折っていた手を止める。数秒間、考えて思い出したことを口に出した。
「ここに来るまで靴の紐が切れたし、七瀬じゃないが黒猫が前を横切ってーー歩道から道路へ飛び出して……俺は、そいつを」
「追いかけていった」
「運悪くトラックが突っ込んできてた」
「山崎は猫を見ていた。運転手は発作を起こして意識を失っていた」
「トラックは止まることもなく、そのまま俺を轢いた。体は吹っ飛んで、猫は何事もなかったかのように道路を渡りきった」
「山崎はコンクリートの地面に強く頭を打ち付けて、切れたところから大量に血が流れた」
「落ちた時の衝撃で舌を噛んだままで痛い」
「ぶつかった時の衝撃によって気絶した状態が続き、そして、心臓は」
「止まった」
「……山崎」
ああ、と宗介が応える。
頭のところを軽く折り、尾の折り目を綺麗にする。折り鶴ができた。燃えるような赤で、凛の瞳みたいだ。
「ああ、山崎……お前死んでしまったんだな」
遙の言葉に、宗介は鶴を握りつぶした。

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