真凛 (3/3)
あいしてるよ

「橘はさ、『愛』って何かわかる?」

話しかけられた真琴は宿題であるワークから顔をあげて机を挟んで前に座る凛を見た。声をかけた本人は、宿題を済ませたのか漫画を手にとってページを捲っていた。
愛って、何か。真琴はわからなかった。

「さあ…わかんないや」
「そっか、橘もわからないのか」
「松岡君はわかるの?」
「んーん、俺も」

またページが捲られた。何を読んでいるんだろう、と思った真琴はそっと身を乗り出して覗き込んでみた。そこには主人公と思しき少女が、同い年くらいの少年と手を繋いでいた。
少女漫画。真琴は驚いて無意識のうちに声に出していた。彼の中にある『松岡君』は、女の子らしい出で立ちをしているが、中身はごくふつうの男子だったから。

「ああこれ?妹から借りてんの。意外と面白いぜ」
「へ、へえ…」
「でもどうしても『愛』が分からないんだよ。好きって気持ちじゃないのか?」
「…おとなになれば、わかるかも」

もやもやとした気持ちを晴らすために出した言葉は、何故か真琴のこころのどこかをぐしゃりと踏みつぶした。
凛も同じように、一瞬だけ寂しそうな顔をして、また明るく笑った。

「そうだな、いまはまだ子どもだし。ありがとな、つまんねー悩みに付き合ってくれて」
「えっ!?そ、そんなことないよ。僕だってわからないし…でも」

でも、ハルにならわかるのかな?誰よりも大人びた表情で、飄々とする様は真琴たちより一歩進んだおとなに見えた。
だがここには遙はいない。用事があるから、と言って先に帰宅したのだ。

「…もしかしてさ、七瀬なら分かるって思ったんだ?」
「っ!ち、ちがっ…!」

慌てふためく真琴を見て凛は、それで違うと否定できるのかと薄暗い感情に包まれた。そして今度は凛が、机から身を乗り出して目の前にいる相手を押し倒したのだ。
突発的なことに身構える術もなく、体格が大きいはずの真琴は簡単に床に倒れ込んだ。あまりの急展開に真琴は目を白黒させた。

「じゃあ俺たちも…七瀬みたいにおとなになろうぜ、橘」

凛の笑顔があまりにも痛ましくて目をそらしてしまった。



床に寝かされた真琴の局部に凛がじゅる、じゅると吸い付いていた。
初めての強い刺激に真琴は目尻に涙を浮かべていたが、腰が少し浮いていた。凛はそれに気づいており、口元を緩めた。

「っ!あっ…だめだって、まつおかくぅっ…んん!」「んむ、たひはなの…おっきいんらよ」
「やぁ、しゃべっちゃだめ…っ!松岡君!くちっ…離してっ!出ちゃう……!」
「ん…らせよ」

一際強く吸うと、真琴は身を震わせてイった。ともだちの口に…出しちゃった。
快感の余韻はすぐに薄れて後悔の波に襲われた。一方、凛は彼を達せられたと満足感に浸っていた。

「ま、松岡君…ごめんね。ぼくっ…ひっぐ!おくち汚いから洗ってきて…」
「ごくん!」
「え…?」
「ごめん橘、飲んじまった」
「え、ええー!?の、のの飲んじゃったの!?」

信じられないといった表情に、凛は唇を舐めながら顔を近づけた。

「橘ならいいって思ったから。だめか?」
「〜〜 っ!? 松岡君のばかっ!」

真っ赤な顔をした橘に怒られてもなぁ、と思っていた凛に真琴は拙いながらも顔をよせて唇を重ねた。こんどは凛が驚いた番だった。
ちゅっ、ちゅぅ、と顔の角度を変えて舌を滑り込ませる。未経験だったが、真琴は何となく本能のままに、驚いて石像と化してしまった相手の口腔内を荒らした。
一頻り滅茶苦茶にしたところで、真琴は目を開けて口を離した。すると、目の前には涙目の凛がいた。

「ま、松岡く、」
「ふ、ファーストキスだったのに〜っ!」
「え……えっと…ごめん、ごめんね」
「ふぇっ、たちばなのばかっ!ぐすっぐす…っ!」

どうしよう、すごくめんどくさいな…。ぐずぐず泣く凛を弟のようにあやす真琴は、名案を思いついた。
そう、それは先程自分とされた行為のお返しである。もちろん、悪意はなかった。

「松岡君、ちょっとごめんね」
「えっ…?」

優しく後ろへと押し倒してズボンを寛げ、見えたパンツの染みに驚いた。なんと凛は真琴とのキスに感じていたのだ。
嫌ではなかったという事実に少し安心しながら、真琴はパンツと一緒にズボンもずらした。いきなりの行動に凛が悲鳴を上げた。

「なっ!?何してんだよ橘!」
「何って…さっきのお礼…?」
「…なんで疑問符つくんだよ」

呆れている彼を尻目にふるりと出てきた性器に真琴は目を見張った。薄いピンクで可愛らしいサイズだったのだ。
真琴の動きが止まったのを不審に思い、瞬時に察知した凛は目と同じくらいに赤くして怒った。

「た、橘がデカいだけで…」
「ふふ、かわいい」
「はあ!? んっ…!や、やめろよ…ばか橘…っ!!」松岡君の気持ちいいところはどこなんだろう、と口に含みながら反応を探していた。すると一番反応が良かったのは先端だった。
そこを集中的に舌先で舐めてやると、凛は口を手で押さえて悶えるのだ。なんだかそれがとても嬉しくなってしまい、真琴はそこばかり攻め続けていた。

「や、やらぁ…!そこ、だめってば…っ!うぁ、やぁっんん!」

頬を朱色に染めた凛を見てますます動きが加速した。もっともっと、凛に気持ちよくなってもらいたい。
ふと視線を下に向けると、はくはくと開閉する穴を見つけた。肛門だと分かったのだが、引き寄せられるように真琴はそこに先走りをつけた中指を入れた。

「ひっ!や、な、なに…?たちばな、なにしてんの…?」
「んむ…松岡君にもっと気持ちよくなってもらいたくて」
「ばっ…!そこは、こうも…っんん!や、やだこれ…!きもち…わるっ」

第一関節しか入れてなかった指を更に奥へと進め、しこりを見つけた。それを強く圧迫すると、凛が面白いほどに反応するのだ。
僕のを入れたらもっと…。そう考えた真琴は、口から性器を出した。
刺激が来なくなり、物足りなくなった凛は閉じていた目をそっと開けた。果たしてそこには真琴がズボンを寛げていた。

「な、なにしてんだよ…たちばな」
「今気づいたんだけど、僕のちんこいれたら、2人とも気持ちよくなれるって」
「なに言って…! っぐ!」
「き、きつ…!」
「いてぇよバカ!橘のバカ!」

僕も痛いよ、という言葉を飲み下して真琴は腰を前に突き出した。ぐっ、ぐっと少しずつ挿入されていく。

「はっ、っ…うそつきぃ…!気持ちよくない…っ!」
「ごめん、ごめんね松岡君…!もう少し力ぬいて…」
「むり…っ!」

凛も真琴もこのような体験は初めてで、どのようにして進めればいいのかわからなかった。真琴は薄らだが、『愛』とはこういうものかと思い始めていた。
なんとかして凛の苦しみを取り除こうと、萎えていた性器を優しく扱き始めた。すると段々、窮屈であったナカが弛緩し始めたのだ。
凛の表情も和らいできて、再び息を乱れさせてきた。

「はぁ…!たちばな、きもちぃ…」
「う、動いてもいい?」
「ん…」

今度はゆっくり、ゆっくりと腰を動かした。前を扱くのは止めずに、挿入を続けていた。

「まつおかくん、きもちいいよ…っ!」
「俺も、んっ!あっ…!んん…」
「動くの…速くしていい?」
「まっ、まだダメ…!」

ストップをかけられたが、快感に目覚めた若い身体は堪えきれずに速さを増した。凛が「まだって…言ったのに…っ!」と睨めつけたが、涙目だったので煽る形となり逆効果であった。

「はっ…!っ、まつおかく…出る…ぁ、」
「たちばな…!イキそ、う…っ!」
「あっ、ああ!」

真琴が吐精した衝撃で凛もつられて達した。まだ幼いペニスからは透明な体液が滴り落ちていた。挿入したまま、体力の限界を迎えていた真琴はパタリと前へ倒れ込んだ。



「――っていうの、昔あったよな」
「あ、あのときは…ごめん」
「本当大変だったんだぞ。真琴でけえから下ろすのもキツかったし」
「でも最初してきたのは凛だし…!」

凛の隣に寝転がっていた真琴が起きて反論した。高校生になってから初めて身体を重ねた夜、ふと思い出したのだ。
確かに初めは俺だったけど、と凛がむっと眉間に皺をよせたが、すぐに緩めた。

「…そうだけど。ま、あのキスの責任を取ってくれるとは思ってもなかったけどな」
「だって…凛を愛してる、から」

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