その他 (3/4)
美味しく食べてあげる

密かに想いを寄せていた同じ部活の後輩が退部した。理由は水泳部に入る、それだけだ。
親交はあったが、彼を引き留めることが出来なかった。自由を見つけたんです、と嬉しそうに眼鏡の奥にある瞳を輝かせた彼。
悔しくて悔しくて、毎晩枕を涙で濡らした。
数ヶ月は立ち直れずに部活を頻繁に休んだ。何故ならば、あの水泳部と帰宅時間がかぶってしまうからだ。
結果的に目指していた夏の大会にすら、手が届かなかった。季節は秋、2学期が始まる。
新しい学期が始まったが苛立ちは募るばかりで、とうとう決壊してしまった。
俺が想いを寄せていたあの後輩を引き抜いた――水泳部部長の橘に、苛立ちをぶつけた。

「おはよ、橘君」
「いった…。ここは、どこ…?」
「体育準備倉庫」
「は…?」
「なあ橘、お前…俺の竜ヶ崎を返せよ」
「……怜は、モノじゃない」

怜、だって。気安く名前呼びしててムカついた。橘の腹に蹴りを入れる。
後ろ手に拘束されている奴は、避けることが出来ずに食らった。かは、と口から空気が漏れる。

「可哀想な竜ヶ崎だよな。せっかく居場所を見つけた水泳部にすら、奪われるんだから」
「っ…!あれ、は……」
「全校朝会で聞いたよ。他校の選手が入るって、前代未聞だろ?」
「仕方なかったんだ…!アイツを救うにはそれしかなかったし、怜だって納得してたはずだ…っぐ!」
「はは、橘君〜嘘をついちゃダメだよ。あの朝会のあと、竜ヶ崎は結構さびしそうな顔をしてたけど?」

橘は顔を伏せて、何か透明な液体をポロポロと落とした。涙だった。
しゃくりを上げながら泣く目の前の男に、俺はとてつもなく面倒くさいと思った。

「ふ、っ…ごめん、ごめんなさい、怜……っ!」
「……ねえ橘、セックスしよっか」
「な…なんで?」
「俺、一応経験はあるからさ。泣かせちゃったお詫びに、な」
「や、やめろ!やめろよ!っぐ…!」
「うるせえよ」

もう一発腹を殴ったら、橘は涙をまたぽろりと落として唇を噛んだ。その硬く閉じられた唇を指で優しくなぞると、奴は大げさに肩を跳ねさせた。
それにいい気になった俺は、耳元で「優しくしてやるよ」とささやいた。
聞いた本人は悪魔から余命宣告をささやかれたかのように、顔を真っ青にさせたけど。
まずはキスから。やわやわと触れるだけのキスを落とす。橘がぎゅっと身体を強張らせていたので、太股の裏を優しく撫でる。
あ、いま反応した。
ぺろり、と舌で唇を舐めたら、また肩を跳ねさせた。敏感だな、コイツ。

「や、だ…お願い、やめて…!」
「…橘、ここ勃ってる」
「うそ…!?」

嘘じゃなかった。中心部はゆるりと勃起していて、俺からの刺激に顕著に反応している。
身体は正直、だなんてオッサンくさいな。
次は唇を割るように舌を滑り込ませる。嫌々と中々口を開けない橘にいらいら。
太股を撫でていた右手を、その勃起しているソレに置いて擦って緩んだ隙に舌を入れた。
くちゅくちゅと湿っぽい水音に、柄にもなく燃えてくる。目の前にいるのが竜ヶ崎ならなあ。それか可愛い女の子なら。

「はは、完全に勃起したな」
「っ、ふッ…」
「あんまり泣いたら赤くなる」
「じゃあやめろよっ…!」
「やめない。橘と繋がるまでな」

ぺろりと首筋を舐めあげたら、上から嗚咽が降ってきた。ぐすぐす泣いてる橘がとてもうざったい。
いい加減泣き止めよ。まあ俺の行為が終われば泣き止むのだろう。
橘の後頭部を掴んでいた左手は、彼のシャツの上から胸を押し上げるようにする。残念ながら筋肉だ。
「んんッ」と鼻にかかったような声が聞こえてきた。感じてんの?と聞いたら、首を横にぶんぶんと振られた。

「嘘だな。濡れてきたし、橘ってこいうの好きなの?」
「ちがっ…、ンっ!や、やだ…!」
「やだじゃないだろ。な、また大きくなった」
「〜〜〜っ!!」

顔を赤くして伏せる橘、意外と可愛いかも。


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