「猩影さまっ」
「んあ?なまえか、どうした?」

今日も今日とて朝起こしてもらい、少し寝ぼけながらご飯を食べているとなまえがなんとも嬉しそうに声を掛けてきた

「はい、私からチョコです!」
「……え?」
「今日は大切な方にチョコを贈る『ばれんたいん』という日らしいですよ」

本家の方からそうお伺いしました!と自信満々に手渡された箱は綺麗なラッピングが施され、料理が苦手ななまえにとってコレはすごい自信作なんだろうということが分かる

「開けていいか?」
「はいっ是非っ」

キラキラと目を輝かせるなまえを横目に猩影はしゅるりとリボンを解いた

「トリュフだ」

ジーッと差すような視線を感じながら口に入れるとほど良い甘さで溶けていった

猩影は確かに大成功だとバレないように小さく笑った

「猩影さまどうでした?」
「美味かった、有り難う…けどコレ他の誰かにもやるのか?」
「よかったぁ気に入って頂けて!他の方には残念ながら市販なんです、成功したのが猩影様にあげた分だけで…」

目の前で残念がるなまえを余所に猩影は、料理があまり得意でない彼女でよかったとムダな嫉妬を焼かずに済んだと喜んだ

「来年も楽しみだな」
「はいっもっと頑張ります!」

自分の分だけ成功すればいいと願い、自然と頬を緩ませなまえの頭を優しく撫でた





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