微暖湯 | ナノ

仲良くなるのは難しいですか。



会議室にいたスパナさん達を見つけて雲雀さんのボックスを見せると、入江さんがすぐにボックスを持って走っていって、スパナさんにいい子いい子と頭を撫でられた。子供扱いが嫌だとは思うが文句は言わないでおこう。頭を撫でられるのは結構好きだったりする。

「後は正一に任せれば大丈夫 歩は休んで良いよ」
「はい …あー、なんか食べたいものありますか?」
「…お菓子?」
「了解です 後で差し入れ持ってきますね」
「ん ありがと」
「いえいえ 頑張ってください」

スパナさんにあげるために昨日からお菓子は買ってある。時間をおいて持って行こう。もう一度自室に戻る時に、何となく談話室を覗いてみると雲雀さんがロールちゃんとナッツちゃんと瓜ちゃんとじゃれていた。誰もいないからって油断し過ぎじゃないですか。でもまあその光景は愛らしくて好きなので心のアルバムにしまっておいた。雲雀さんは可愛い人だなあ。

「何してんすか」
「それ以外しゃべれないんですか?」
「しゃべりますけど」
「そうですか」
「何してんすか」
「…何でもないです 佐藤さんこそ何してるんですか?」
「仕事終わったからお茶でも飲もうかと」
「じゃあ私の部屋行きましょう お菓子ありますよ」

今は談話室立ち入り禁止です。雲雀さんの天国だから小動物以外入っちゃダメなんです。佐藤さんを押して部屋に戻ると変な顔で睨まれた。不良みたいですよ。紅茶とクッキーを出すとますます睨まれた。りょ、緑茶の方が良かったですか。

「簡単に男を部屋に入れない方が良いと思いますよ」
「え?なんでですか?あ、敬語じゃなくて良いですよ」
「…女の子だし高校生だし、襲われたくないだろ」
「ここには私を襲う人なんていないです …みんなボンッキュッボンッのお姉さんが良いんですよ」
「…自分で言って落ち込むなよ 俺は水島さん好きだよ」
「えっ、ありがとうございます」

なんだ、佐藤さん良い人だったのか。不良はこんなこと言わないよ。佐藤さん紳士だった。好きと面と向かって言われたのは初めてだったので照れているとドアが変な音をたてながら開いた。てか壊れたよね今の。ドアの向こうから現れたのは笑顔の沢田さん。久しぶりにすごい真っ黒。

「やっぱり佐藤くんを入れたのは間違いだったかな」
「…おかえりなさい」
「おかえりなさい沢田さん」
「ただいま あんまり仲良くしなくて良いんだよ?話さなくても良いんだよ?」
「えっと…一応謝りますか佐藤さん?」
「すみません」
「ごめんなさい」
「…はあ おやつ食べよ、二人とも」
「はーい」

なんで機嫌悪いのかは分からないけどおやつくれるならどうでも良い。あ、スパナさんも呼んでこよう。