微暖湯 | ナノ

小動物はお大事に。



今日は久しぶりの一日休みなのでスパナさんといたかったのにスパナさんは入江さんと仕事らしい。仕事ならしょうがないけどやっぱりむかつく。それならばとキッチンに向かうも骸さんとクロームさんの料理教室やっていて、私はまだ死にたくないから静かに立ち去った。うろちょろしても誰にも会わないし今日は寝ることにしようかな。部屋に入り寝転んだ瞬間ドアをノックする音が響いた。空気を読んでくれ。

「水島」
「珍しい方がいらっしゃった」
「ボックスの調子が悪いんだ」
「入江さんの所へ行ってください スパナさんは私がもらいます」
「何の話だい?彼らが忙しそうだから君の所へ来たんだ」
「あの人達に気を遣えるなら休みの私に気を遣ってください」

雲雀さんと話すことは好きだ。ストレートな人だから話していて楽。文句も厭味も正面から言ってくれるし。ただ、褒め言葉なんかは全然出てこないからそこをもっと改善してほしい。私は褒められて伸びる子かもしれないじゃないですか、知らないけど。沢田さんは褒めて褒めて褒めちぎるタイプで雲雀さんは殺して殺して殺しちぎるタイプですか。殺しちぎるって怖い。

「君が一番暇そうなんだよ」
「そりゃ休みなのに忙しそうな人はいないでしょ 佐藤さんは?」
「佐藤?ああ、彼は笹川に絡まれてて面倒くさそうだったからやめた」
「あなたって人は…」
「で、やってくれる?」
「とりあえず見てみますよ そこらへん座っててください」

佐藤さん可哀相に。休みだけど用事はないから雲雀さんの頼みを快く聞いてみることに。私に不可能はない!けれど、んー?なんだこれ?なぜか元気のないロールちゃんはボックスに戻れないらしい。ていうかボックス傷つき過ぎでしょ。雲雀さん頑張り屋だからなあ。

「ボックス直すので、ロールちゃん見ててもらえます?ご飯は食べますか?」
「いや、水も飲まない」
「うーん…ナッツちゃんと一緒にいさせてあげてください 少しは良くなるかも」
「…分かった」

ロールちゃんの頭を撫でて工房へ急ぐ。これはボックス直さないとダメなんだろうな。ロールちゃんボックスに戻れないから体力消耗しちゃってるのかもしれないし。…後は、入江さんに聞いてみよう。スパナさんは動物が苦手そうだ。あー、休みなのにな。