微暖湯 | ナノ

関係図は未完成。



「「歩ー!」」
「ぶはっ!…イーピンちゃんにランボくんか おかえりなさい」
「ただいま歩」
「ただいま帰りました歩」

イーピンちゃん達には癒されます。彼らがいないと私が最年少なのです。そういえば佐藤さんは一体いくつなんだろう…。でも高校出てるらしいし多分年上だろうなあ。中学生組のお二人はしかし私より大人っぽいのです…。私一応高校生なんだけどなあ。

「俺の新しいボックスってできてますか?」
「残念まだでーす」
「えー…」
「今日スパナさんと一緒にやるんだえへへへ」
「歩はスパナさん大好きですね」
「うん!」

自分達の部屋に戻りながら話していると前から噂のスパナさんが歩いてきた。パソコンいじりながらなんて器用だなあと思っていたらつまずいて転びそうになるから思わず飛び出してしまった。

「…歩、ありがと」
「はい、気をつけてくださいね」
「ん …あ、ランボ達おかえり」
「「ただいま」」

頭を撫でながら二人に挨拶をし、私の手を取って歩き出してしまった。ナチュラルにこういうことをするのは卑怯ですよスパナさん。日本の子はこういうのに弱いんですよ。チラッと後ろを見ると二人も手を繋いで歩いて行ってしまって、スパナさんは気を遣っただけなのかとちょっとショックだった。ていうかそうか、あの二人はそうだったのか。スパナさん知ってたのか。

「スパナさんって意外と人間関係分かる人なんですね」
「…なんの話?」
「え、ランボくん達」
「二人がどうかした?」
「…付き合ってるの、知ってたんですよね?」

私が言うと一瞬立ち止まり目を大きく開けて、「新しい情報…」と呟いていた。あれ、知らなかったの?じゃあなんで今私を連れて歩いてるの?

「スパナさん、二人に気を遣ったんじゃないんですか?」
「…ウチが歩と手繋ぎたかっただけだよ」
「……」

あーダメだ。私もう幸せ過ぎて今日ダメだ。なんだろうこの人。私をどうしたいの?爆発させたいの?顔が赤いのを隠すように俯いていると、顔の横に垂れている髪を耳にかけられスパナさんに顔を覗き込まれた。そこは空気を読んでそっとしておいてください。

「可愛いな、歩」

だから私をどうしたいのですか!?走り出した私は手を繋いでいることを忘れていたので、結局スパナさんと走って工房に戻っただけでした。珍しくそこにいた佐藤さんに「…何してんすか」と不思議そうな目で見られた。