微暖湯 | ナノ

騎士の笑顔は眩しい。



太陽眩しい。やっぱり外は好きじゃない。木の影に入って寝転ぶとちょっと涼しくなって眠くなった。ちょうど良い気温だよここ。

「起きろ水島!」
「…笹川さん、私は眠いので寝ます」
「ピクニックは寝るものではない!」
「草原を走り回るのもピクニックとは違うと思いますよ」
「はっはっは!面白い!」
「…それは光栄でございます」

この人元気だな。テンション高い時は笹川さんと一緒程楽しいことはないんだけど、眠い時はとても面倒。でも無下に扱うことはできないから適度に流しながら少し話す。そのうち満足して走って行っちゃうんだよね。

「水島は外が苦手なのか?」
「…よく分かりましたね」
「うむ いつも買い物もネットで済ますと聞いていたし、俺と一度も走ったことがないからな」
「笹川さんって馬鹿っぽいくせに細かいことに気づきますよね」
「褒めてるか?」
「さあ」
「そうか…」

なにやら考え始めて、すぐに飽きたのか走って行ってしまった。笹川さんは考えるのより走ってるのが似合いますね。でも少しは考えないと戦いでは…負けないんだろうな、京子さんいる限り。良いなあ大切な人がいるって。私は家族もいないし彼氏もいないし…ファミリーの人は大切だけど私が頑張んなくても皆死なないし。皆強いよ、羨ましい。私はなんで戦えないんだろう。分かってる、メカニック担当だから戦闘要員じゃないって分かってるけど。でも皆が死にそうな時に何も出来ないのは本当に辛い。

「水島?」
「…山本さん」
「なんか悩み事か?」
「山本さんも、阿呆っぽいくせに変なところ鋭いですよね」
「ありがとな!」
「…どういたしまして」

そしてこの人は本当に優しい人。私も山本さんみたいになりたい。優しくて強くて良い人。こんな人だったら皆に好きになってもらえるよね。

「悩まなくて良いんだよ水島 難しいことは相談すれば良いし、嫌なことは嫌って言って良いし」
「…ちょっと違うけど、分かりました」
「俺、笑ってる水島の方が好きだぜっ」

キラキラ笑顔を正面から受けるのはきつい。なんだってこんなかっこいいのかな山本さん。獄寺さんも笑えば良いのに。頭を優しく撫でて行ってしまった山本さんの後ろ姿に手を振っておいた。人に優しくされるのに慣れてないのかな、少し照れくさい。