微暖湯 | ナノ

だからフラグはへし折りなさい。



「歩っ…」
「クロームさん!どうかしましたか?」
「ううん、久しぶりに会えたから嬉しかったの」
「〜っ!クロームさん!ぎゅってしても良いですか!?」
「良くないですよ」
「ぎゃ!」

クロームさんとの感動の再会に言葉通りの横槍を入れてきた骸さんは、私の目の前でクロームさんを抱きしめて睨んできた。はっ、嫉妬ですか?男の嫉妬は醜いですよ?馬鹿にするように笑ったらナイフが天井から落ちてきたので迷わずクロームさんに駆け寄った。

「どうせ幻覚でしょ!」
「そうですが なぜクロームに?」
「例え幻覚でも骸さんはクロームさんのこと傷つけないから」
「…そんなことはないですよ」
「へー」
「…なんですか」
「いえ何も」

ニコッと笑顔を向けるとすごく嫌そうな顔になった。骸さんってうまく掴めないけど、面白いよね。まあクロームさんがいなくて一対一だったら絶対おちょくったりしないけど。怖いし。すぐ近くのクロームさんの手を掴み目を合わせると、優しく微笑んでくれた。ああもう天使!なんでこんな可愛いの!?なに食べたらクロームさんみたいになれるの!

「歩、寝不足?」
「え?多分十分過ぎるくらい寝てますけど…」
「目が赤い」
「…あ、あ、はい 大丈夫です!さっきゴミ入って、だから元気です!」
「そう…」

ふわぁああ、私の目元を撫でつつ笑うとか!クロームさん!無茶苦茶照れる!女の子相手だと可愛すぎて変な反応しかできない。男の人だったら適当に流せるのに。

「クローム、歩から離れなさい」
「なんで…?」
「…歩はこれから用事があるようです 邪魔をしてはいけませんよ」
「あ!…ごめんね歩 また、ね」
「え、ちょ」
「Arrivederci」
「は?」

何語か分からない言葉を残して骸さんはクロームさんと歩いて行ってしまった。え、私なんの用もないんだけど。むしろクロームさんに用があるんだけど。話していたいんだけど。まあ骸さんだから仕方ないよね…。僕のクロームとか言っちゃう人だから…。気を取り直して自分の部屋に戻ろうと階段に向かったら、後ろから腕を引っ張られ倒れ…なかった。何者かに背後から抱き留められたようだ。

「…え、獄寺さん!?」
「ちょっとこい」

な、なんでこう次々とフラグを立てるのか!