微暖湯 | ナノ

蛇に睨まれた蛙。



「鳥で犬だから次猿でしょ!」
「水島さんって馬鹿なの?桃太郎でもないのになんでそんな三匹揃えるわけ てか動物は今良いから武器をどうするかって話なんだけど なんですぐ論点ずれんだよ」
「ば、ばかって言った…!馬鹿って言った方がばーか!」
「餓鬼か 山本さんもう俺の部屋行きましょう こいついると話になりません」
「そうか?楽しいぜ?」
「「楽しくない」」

結局恋ばななんて吹っ飛んでいつも通りの会議になったんですが。佐藤さんなんで会議の時ばっかり饒舌で毒舌なんだ…。山本さんに隠れてばーかばーかと言えば鋭い目で睨まれる。ああはい、今のは私が悪いですね。

「佐藤も水島もガキだなぁ」
「えー私もう高校生ですよー」
「俺ガキじゃねえし」
「あ!佐藤さん言葉遣い悪い!」
「うっせ」
「山本さーん!」
「すぐ他の人のとこ行くなよ」
「え、それはどういう」
「黙れ」

横暴だ…。とりあえず行くなと言われたので佐藤さんの隣にちょこんと座る。また全力で顔を背けられているんだけど。なんなんだろう、今日の佐藤さんは私を避けている気がする。山本さんを見ても、全部分かってるような顔で何も教えてくれない。この人はそういう人だった…。

「…私なんかしましたか?私佐藤さんのこと好きだから、嫌なとこあったら直したいです」
「…そういうストレートなとこもだよ…」
「大丈夫だよ水島、佐藤はお前のこと大好きだから」
「…そうなんですか?」
「本当もう山本さんも黙ってくれないスか」
「ははっ」

諦めたようにため息をついた佐藤さんは、ようやく私と目を合わせてくれた。2、3秒たったら頭を撫でてから立ち上がって行ってしまったけれど。…うーん、良いよってことなのだろうか。まあ山本さん曰く"私のこと大好き"らしいし、安心して良いのかもしれない。私も佐藤さん大好きですよー、と心の中で思っておいた。談話室の扉の外で佐藤さんが沢田さんに睨まれて動けなくなっていることなんて知らず。