微暖湯 | ナノ

偉そうなやつは滅びろ。



ボンゴレは私が入るまで技術屋が3人しかいなかった。大きなボンゴレファミリーを支えるのにたった3人って何。驚きと呆れでため息をつきたくなる私の気持ちを理解してくれたのは獄寺さんだけだった。彼の装備だけ少し金をかけて、怒る人はやっぱり彼だけだった。何でもすぐ10代目10代目って。沢田さん大好きだな、本当。

「この子、これからファミリーに入ってもらうから」
「…佐藤です」
「マフィアの工業高校通ってた子だから、使えるよ」
「いらっしゃい佐藤さん」
「…っす」

イタリア人らしい。でも黒髪に佐藤って名前で?疑問に思っていると佐藤さんがボソッと言った、両親が日本人だけどイタリアで生まれたから俺はイタリアの戸籍なんです、ちなみに偽名は10個くらい持ってます。その言葉は中々マフィアらしくて良いと思った。よく考えたら獄寺さんもイタリアの人だし、日本の名前で不思議がることなんてなかった。

「佐藤くん無口だけど、機械のことになると引く程饒舌だから気をつけてね」
「…どうも?」
「褒めてないから」

笑顔で言う沢田さん。やっぱりボスはこうでなくては。私は黒い人がとても好きだ。ちなみに真っ白の人も好きだ。基本的に人を嫌いになることはない。…あ、一人苦手な人ならいる。

「佐藤くん、分からないことがあったら聞いてくれ」
「…入江さん、でしたよね お願いします」
「うん」

なんか、偉そうなやつって好きになれない。入江さんがってわけじゃなくてね。偉そうなやつ全員。沢田さんは偉そうなんじゃなくて偉い人だから文句なんかかけらも出ないんだけど、入江さんって別に偉い人じゃないでしょ。スパナさんの方が私好き。仕事してるときは好き嫌い関係ないけど、休憩時間とか休みの日はどうしてもスパナさんと一緒にいたくなる。入江さんと休みの日まで会いたくない。…いや、嫌いとかそういうわけじゃないんだよ?

「歩…眉間にシワ寄ってる」

ぐっと人差し指で押され、後ろに倒れそうになったら抱き抱えるように支えてくれた。紳士だよスパナさん。笑顔を作ると「歩はそっちの方が可愛い」とストレートに言われ思わず抱き着いてしまった。ぽんぽんと優しく背中を叩かれて急いで離れたけど、今のはスパナさんが悪いんだよ。