微暖湯 | ナノ

そうだ、日本へ帰ろう。



「ディーノさん!プレゼントです!」

部屋に突撃しラッピングしたお菓子を投げた。嫌がらせとかじゃないからね、ちゃんとプレゼントって言ってるからね。着替えている最中だったにも関わらずムチを振って袋を取ったディーノさん、部下の方が紅茶を入れていた。舌打ちをせずにディーノさんの所へ行きもう一度「プレゼントです」と言った。不思議そうな顔をするディーノさんにブレスレットのお礼と言うと顔を緩めてへにゃっと笑ってもらえた。あ、今の顔はキュンときた。

「サンキュ 大好きだぜ歩」
「私も大好きです」
「ありがとな」

ニコニコと笑いながら頭を撫で続けるディーノさんに「着替えを先に…」と言うと赤くなって慌てていた。はは、忘れてたのか。忘れられるのか?うん、まあ良いとして。ディーノさんが着替え終わるまで廊下に出てドアに寄り掛かりしゃがんだ。足がしびれ…いや、大丈夫だ、大丈夫だろ私!意味の分からない意地で足がしびれないように頑張った。具体的に言うと10秒に一回くらいずつ体勢を変えた。きっと回りから見たらアホだ。

「うお!待っててくれたのか?」
「待ってますよ おはようございますディーノさん」
「あ、おはよう歩 朝飯食ったか?」
「まだです 今日はサンドイッチとスープって言ってました」
「おう!じゃあ行くか」
「はい」

手を繋いで歩き出す。後ろから着いてきていただいてるのでこけずに談話室に着くことができた。
「迎えのジェット機が来たぜ」と報告しにきた方の声に談話室にはため息が広がった。あと少しで神経衰弱終わるところだったのに、私の勝ちだったのに。でもこの枚数差なら私勝ちましたよね!私勝ち!と主張すると4枚差で追いかけていた方に非難された。ちょ、大人気ない。

「…もう、帰るのか」
「お世話になりました 役に立てたか分かりませんが、とても楽しかったです」
「おう すっげえ助かったぜ また来いよ?」
「もちろんです!」

ぎゅーっとディーノさんに抱き着き、まとめておいた荷物と共にアジトを出た。ソファで寝ていたにも関わらずスパナさんは目をとろんとさせている。眠いんですか、あんなに寝たのに。ジェット機に乗り込む前に振り返りみんなに礼をすると口々に"ばいばい"やら"またな"やら叫んでいた。一番通る声でディーノさんが"頑張れよ!"と言っていたので大きく頷きやっとジェット機に乗り込んだ。…頑張れ私、日本まであっという間なはずだ。行きと同じく手を握ってくれるスパナさんにお礼を言った。あったかい。