微暖湯 | ナノ

昔話は紙芝居。



キャバッローネファミリーのアジトは無事に直り、スクアーロさんは帰っていき、迎えのジェット機が来るまで暇な私とスパナさん。ちなみにディーノさんは今日は仕事で明日は休み。だから今重要なことは今日一日どう過ごすかってことなんだ。

「歩、アメ食べる?」
「その手があった!」

駄菓子食べながらだべる!今日はこれで決定ですよスパナさん!くだらない会話程楽しいものはない。スパナさんが座るソファーの反対側に座り鞄からお菓子を出した。日本で買ってきた駄菓子は机を埋める程の量だった。旅行鞄より大きいビニール袋を見逃しましたね佐藤さん…!まあそんな揚げ足取りは置いといて、広げたお菓子にスパナさんは目をキラキラ輝かせた。さらにファミリーの方にお湯をもらい持ち込みの茶葉でお茶を入れると驚いたのか嬉しかったのか、涙を浮かべていた。そんなにですか、そんなに日本が好きなのですか。

「お菓子パーティーでおしゃべりしましょう!」
「…っ!歩大好きだ!」
「〜!!」

身を乗り出してぎゅっと抱き着かれて、私はよく叫ばずにいられたと思いますよ。スパナさん、満面の笑みで"大好き"は貴方を好きな女子にしてはいけないことですよ。赤い顔を隠すように俯いてしばらく熱を下げる作業に専念した。その間スパナさんは緑茶を飲みつつふがしを食べていた。

「…よし ではスパナさん何か話しましょう」
「ん、なにを?」
「スパナさんはなんでボンゴレに入ったんですか?」
「…ボンゴレの、完璧な技を見たかった ウチが作りたかった」
「沢田さんに惚れたのですね」
「…ちょっと意味が違う気がするけど、だいたいそんな感じ 歩は?」
「私は、…長くなっても?」
「聞きたい」

真剣な目をするスパナさんの頼みは断らないと決めたから、私は真実を話しましょう。せっかくのパーティーを暗くするのは嫌だけどね。少し明るく話してみますか。

「歩の冒険はじまりはじまりー」
「ぱちぱちぱちー」

手を叩きながら口でも擬音を出していただいた。どうもどうも。