微暖湯 | ナノ

居場所はひとつあれば良い。



「そういえばスクアーロさんはなんでここにいるんですか?」

今さらながら疑問に思ったことをそのまま口に出すと呆れるような目で見られた。忘れてたわけじゃない!どうでも良かったんだ!私もスクアーロさんもさっぱりした性格なのか昨日のことはわざわざ話題に出したりしなかった。だって片付いたことぐだぐだ引きずっても良いことないし。だから気まずく感じることもなく普通に話すことができる。私は自分のそういうところ結構好きだ。

「ボスからこいつに届け物だぁ」
「なるほど、ディーノさんと仲良しのスクアーロさんが選ばれたのか」
「仲良しじゃねぇえ!」
「照れないのー」

スクアーロさんは照れ屋だなあと言うと赤くなりながら剣を振り回していた。感情表現豊かだね、スパナさんがこのくらい大袈裟になったら面白いかもしれない。でも私は今のスパナさんが好きだからこのままで良いよ。用事は終わったから帰るというスクアーロさんを止める。まだ話したいことあるし、私はまだ帰らない予定だからね。イッツ自己チュー。

「…夕方には帰るからなぁ」
「うん!ヴァリアーのみんなの話聞かせてください」
「お前はベルが好きなんだったか?」
「えっ…うん、好きだけど、一番はフランさん」
「……フランか お前趣味」
「悪いとか言うなー フランさんの素直じゃないところ可愛いじゃないですか」

私は表情があんまり変わらない人が好きなのかもしれないな。スパナさんしかりフランさんしかり。私はいつもヘラヘラしてるから、反対の人が良いのかな。笑う人が嫌いとかそういう訳ではなくてね。フランさんを思い出してにやにやしていると今度はスクアーロさんに哀れむような目で見られた。あなたは女心が分かってないんですよ、私も分かってないけど。

「フランならいつも通りサラッと任務をこなしてるぜぇ あいつは霧属性のくせにあまり大袈裟な幻覚使わねえなぁ…」
「自分の得意なことを見せびらかさないなんて素敵な人ですね…」
「…盲目」

ぽつりと聞こえた言葉は無視の方向で。フランさんの良さが分からないなんてまだまだだなスクアーロさん。良いな、ヴァリアーの皆さんはいつもフランさんと一緒に仕事してるんだ。私もヴァリアー入れば良いのかな、でも殺しはやったことないから不安だな。なんで私真剣にヴァリアー入ろうとしてんのウケる。

「歩はウチと一緒にいて」
「ヴァリアーなんてクソですよね!」
「ゔぉ゙お゙い゙!?」

ごめんなさい口が滑りました。