朝はまだ来ない。
一人部屋に通されたは良いがお風呂も済んでしまいやることがなくなった。これは突撃隣の○○遊びをするしかないかな。隣はスパナさんと聞いていたけれど、きっと寝ているだろうから隣にはこだわらない。とりあえずディーノさんの部屋を探してみよう。
「失礼しまーす」
適当に歩きながら人の気配のある部屋を覗いていくだけの作業。簡単なのですがドアを開けて部屋の主が寝てた時の虚しさはピカイチの作業なので気をつけてください。2、3回繰り返すとお目当ての部屋を当てることができた。
「ディーノさーん」
「お、歩 どうした?寝れないか?」
「まだ寝たくないので遊びにきました」
「ははっ!そうか」
お風呂上がりなのか髪が下りているディーノさんはいつもよりかっこよく見えた。イケメンは何をしても似合うんだから、狡いよイケメン。石鹸の匂いに誘われてぎゅーっと抱き着くと優しく背中を叩かれた。ディーノさんってお兄ちゃんみたいだな。本当のお兄ちゃんも優しいけど、ディーノさんみたいなお兄ちゃんも良いな。温もりに包まれて満足したのか睡魔が襲ってきた。人の部屋に来て寝るって失礼じゃないか私。
「…眠いのか?」
「ちょーっとだけ、です」
「そっか ベッド使うか?」
「いえいえー 私は自分の部屋に戻ります」
「じゃあ送ってく 歩途中で寝そうだし」
「…うん、寝ちゃいそう よろしくお願いします」
「おう、行くぞ」
手を繋いでのんびり廊下を歩いた。のんびりなのは私が歩くの遅いからなんだけどね。ふらふらと時々壁に激突しようとする私をディーノさんは優しく支えてくれた。そういえば部下さん連れてないのにドジっ子じゃない。
「俺だって成長したからな!」
言った直後にこけてしまったら説得力が…。そして手を繋いでいるので私も道連れな訳で。でもそこはさすがと言うか、私の下敷きになってくれて怪我一つ負わなかった。やっぱりディーノさんをお兄ちゃんにしたい。
「歩はスパナが好きなのか?」
「もちろんです あ、沢田さんもディーノさんも大好きですよ」
「…そっか 俺も歩大好きだぜ」
「やったー!」
まだ恋愛感情はいらない年頃なんだ。女子高生なのに?とか、そういうのは良いから。マフィアだから関係ないでしょ。学校は沢田さんの命令でちゃんと行くけど、私はクラスの子達よりファミリーのみんなが好きだから。まだ青い春は来なくて良いよ。