微暖湯 | ナノ

謝って済めばなんとやら。



談話室に通された私とスパナさんとスクアーロさん。スパナさんはいつも通りお菓子を食べながらぼうっとしているのですが、私はスクアーロさんを睨みつけて、スクアーロさんは冷や汗をかきながら目を逸らしている。こっち向けよおい。

「えっと…歩?」
「なんですかディーノさん」
「…なんでもないです」

間に入ってこようとしたディーノさんにそのままの視線を向けると両手をあげて一歩下がられてしまった。すみません今ちょっと冷静にいられなくて。もう一度スクアーロさんを見ると一瞬目が合った後にさっきより大袈裟に顔ごと背けられた。あら、何か言いたいことがあるなら言って良いのよ。早く言え。

「…すまねぇなぁ」
「は?」
「…悪かった」
「それだけ?」
「…ごめんなさい」
「…スパナさんが怒ってないので私は良いんですけどね」

更に睨むとビクッと肩を揺らしてまた目を逸らされた。スクアーロさんって本当に暗殺部隊ですか?一般人の私にこんなになってて暗殺できるんですか?睨みつづける私の頭を優しく撫でる手に驚き上を見ると、スパナさんが不思議そうに首を傾げていた。…なんか、敵わないなあ。

「歩はよく怖い顔してる」
「可愛くないですね 笑顔にします」
「ううん 可愛いよ」
「…ありがとうございます」

今までの張り詰めた雰囲気は消え去ってスパナさんらしいほわほわした空気が漂っていた。今初めてスパナさんと一緒にきて良かったって思った。私ももっと優しくなりたい。…ですが、スクアーロさんには説明してもらいます。

「昔敵だったんだ…急に目の前に来たら驚くだろうがぁ」
「スパナさんは仲間です、情報遅いんですね あと驚いたからって吊す意味が分からないのですが?」
「だからぁあ!…悪かった、本当に」
「…スクアーロさんの誠意が伝わってきたのでもうこれ以上言いません 私も色々と言って申し訳ありませんでした」
「お、おぉ」
「…一件落着、か?」

ディーノさんが安心したように息をついて椅子に座った。部下の方達も安堵の色を見せていて、色々な方に悪いことをしたと思った。スパナさんだけはいつも通り。今日はこれで終わりかな。この時間に帰ることはできないだろうし、お泊り決定。まあもともと一週間くらいの任務の予定だったし、楽しんでいれば良いかな。そういえばまだディーノさんと全然話してない。