微暖湯 | ナノ

赤信号は渡るな危険。



飛行機を降りて空港を出るとリムジンが出迎えてくれた。スパナさんと乗り込むと車の中には笑顔のディーノさんがいた。まさかディーノさん自ら迎えに来てくれるなんて。

「久しぶりです」
「おう スパナも久しぶりだな」
「ん、久しぶり」
「ごめんなわざわざ 元気だったか?」
「もちろんです」

ディーノさんも元気そうで良かった。運転してくれる方が部下の人だからか、今日はドジなしのイケメンだった。スパナさんは車に乗った途端「着いたら起こして」の言葉と共に寝てしまった。飛行機の中でたくさん話していてもらったから疲れたのかもしれない。ディーノさんから依頼の内容を聞いてあまり大変そうじゃないことに安心したけど、屋敷の配電設備なんて私達じゃなくてもできるんじゃないの?

「一応ファミリーのアジトだからな いくらごまかしてるとはいえ民間には頼めねえだろ」
「あ、そうですね 今回はディーノさん個人のお屋敷じゃないんだ」
「ああ だからちょっと広いけど頑張ってくれ 人手が必要だったら男ばっかりだから使えると思うぜ」
「わあ、ありがとうございます でもディーノさんの警護の方はちゃんとつけていてくださいね」
「おう サンキュ」

まあディーノさんに人をつけていおくのはドジで余計な仕事が増えないようになんですが。運転席からグッと親指を立てた腕が出てきた。ファミリーの方も大変みたいだ。屋敷について門を入るとたくさんの人が迎えてくれた。さすがディーノさんの部下って感じでみんな良い笑顔だった。スパナさんがいつも通り飴を舐めながらひょこひょこと先に歩いて行ってしまったんだけど、あの人寝てたから仕事内容聞いてないよね?

「スパナさん!こっちですよ」
「ウチこっちからやる」
「先に配電盤見ないと…ってああ 行っちゃった」
「誰かスパナについとけ 歩はロマーリオと配電盤の方頼む」
「え、ロマーリオさんはディーノさんと」
「大丈夫だよ 他のやつらもいるしな」
「…分かりました 気をつけてください」
「よろしくなー」

ロマーリオさんを見上げても諦めたように首を振るだけなので、私も諦めることにした。さっさと仕事終わらせちゃえば良いんだよね。