指切りげんまん | ナノ


隣の席です 


「お、沖田じゃん これからよろしくな!」
「たっ、高尾くん…!?」

ガタガタと机を引っ張りながら私の隣に来たのは、どう見ても私の思い人、高尾和成だった。
悪戯っ子のような笑顔に心臓がキュンとなるのを抑えられない。
赤くなっているだろう顔を隠すこともせずポカンとしていると、「驚きすぎっしょ」とケタケタ笑われた。
だって今年の席替えはこれが最後だからこれからずっと隣ってことなんだよ。

「あ、真ちゃん後ろ?」
「…また高尾と前後か」
「ひっでー とか言ってちょっと安心してるくせに!」
「う、うるさいのだよ!前を向いていろ!」
「真ちゃん面白いっしょ、沖田」
「え!あ、うん」
「仏頂面だけど優しいからさ、仲良くしてあげて?」

優しいのは貴方でしょう、と心の中で思いつつ笑顔で頷く。
実は緑間くんとは中学が一緒だから以前から友達だけれど、高尾くんの優しさを無駄にしたくないからまた新しく友達になろう。



「沖田、ほい」
「え?…っ」

国語の授業中、急に聞こえた声に隣を見れば放られた小さな紙が私の机の上に落ちた。
首を傾げても意味が分かるわけではないから折り畳まれたそれを広げると、左端に小さく"ちょっとお話しませんか"と男の子にしては綺麗な字で書かれていた。
"喜んで"と小さく書いて投げ返すと、ニッと口端を上げた高尾くんと目が合った。

"帝光中だったの?"
"うん
緑間くんに聞いた?"
"そー"
"この前言えなくてごめんね"
"気にしないでってか、逆に俺がごめん"
"高尾くんが謝ることじゃないよ
すごく優しいなあって思った"
"沖田ちゃん、いい子だねぇ"

なんと返せば良いか分からず高尾くんの方をこっそり見ると、机に突っ伏し寝てしまっていた。後ろの席の緑間くんが黒板を真っ直ぐ見ながらも呆れたような目をしていたから、授業中に寝るのはよくあることなのかもしれない。

"高尾くんは、悪い子だねぇ(笑)"

腕に当たらないよう机の隅に置いて、私も黒板へ目を向けた。悪い子にならないようにちゃんと授業受けないとね。

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