仲良きことは美しきかな


「謙也!!」
「うお!?なんなん!?」
「コラボしよ!善哉Pの新曲聴いたでしょ?」
「…!おう!しよ!」

善哉Pの新曲が投稿されたのは昨日の夜。それは爽やかな友情の曲だった。最近は恋の歌ばかりだったし、今までも友情の曲なんて投稿していなかった。相変わらず素敵なメロディーと歌詞で、投稿されてから何度も聴いた。今日の朝ももちろん聴きながら登校してきた。それで思いついたのだ。ついこの間告り告られがありつつも友情を深めた謙也となら良い動画が作れるんじゃないかと。

「テスト期間で動いてなかったら久しぶりや!練習せな!」
「とりあえず来週までにだいたい作って、いい感じになったら撮ろう 私もいっぱい練習する」
「おう!楽しみにしてるわ!」

じゃあね!と手を振って謙也と別れた。蔵ノ介くんにも言っておこうかな。教室にいればいいけど。そう思いながら階段を下りると、ちょうど蔵ノ介くんが上ってくるところだった。

「蔵ノ介くん!…って、財前くんも、久しぶり」
「栞ちゃん、謙也おる?」
「まだ上にいるよ」
「栞先輩、謙也さんに告られたんですか」
「えっ!?」
「ごめんな、こいつ鋭いから隠してたんやけどなんとなく分かったみたいで、さっき問い詰められたから仕方なく」
「あ、いや、私は良いんだけど…」
「…それでも、話すんすね」
「…?」
「ほら、話あんのは謙也やろ 行くで」
「えっと、またね」
「…失礼します」

なんだか機嫌が悪そうな財前くん。久しぶりに会ったのにあんまり話せなかったな。蔵ノ介くんは困ったように笑って手を振っていた。



謙也の家の前の公園で踊りを撮影した。今回は私と二人だからマスクは黄色とピンクの二色。いつも通りキレのある動きと、マスクをしていても分かるほど楽しそうな雰囲気。謙也が踊っているところを見るの好きだなーとしみじみ思いながらじーっと眺めていると、曲が終わり決めポーズをとってから戻って来た謙也にチョップされた。軽い力だったから痛くはないけれど、なぜだか分からず頭の上にはてなを浮かべた。謙也はマスクを外しながら振り向き、あほ、と頬を赤くして言った。…お、おお、もしや、照れてる?

「謙也って恥ずかしがり屋?」
「ちゃうわ!なんでやねん!」

走って隣に並べばまたチョップされそうになった。しゃがんで避けるとそのまま頭をぐぅっと押さえつけられる。く…、動けない。

「縮むからやめれ!」
「うっさいわちび!」
「うわ!それは言っちゃダメだと思うんだけど!?」
「悔しかったらここまで伸びてみ」
「む、むかつくー!」

思い切り背伸びして手を伸ばしても謙也が伸ばした指先までは届かない。悔し紛れに謙也の脇腹をつつくと奇声をあげて逃げられた。…こんなところで弱点を見つけるとはな!

「まてこらー!」
「くんなやー!」
「脇腹よこせー!」
「それ怖いからやめい!」

玄関に着くまで追いかけっこだ!

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