ドキドキチクリ


「栞ちゃん、おはよう」
「あ、蔵ノ介くん!おはよー」
「今日朝早いん?」
「なんか早く起きちゃったから 蔵ノ介くんは朝練?」
「そうやで ほなまた」
「うん、頑張ってね」
「ありがと」

はにかむように笑った蔵ノ介くんは手を振って走って行った。うおぉ…朝から爽やか…。そして可愛い。こんな可愛い微笑み生まれて初めて見た。写真撮りたかった。…私キモい。煩悩を振り払うために自分の頬をパンと叩いた。痛い、よし、行こう。きっとこの時間では誰も教室にいないだろうし、図書室に行こうと思う。先週出た新刊、司書さん買ってくれたかなあ。



朝のHRが始まる時間になり急いで図書室を出た。そういえば蔵ノ介くんは何組だろう。謙也と仲が良いし同じクラスだったりするのかな。後で隣のクラス覗いてみよう。

「あ、先輩」
「あれ、財前くん?おはよ HR始まるよ」
「…そッスね」
「サボり?気をつけてね さっき階段の方副校長いたから」
「ああ、はい」

サボりだなんていけない子だな、と思いながらも人気のない廊下を走る。ちょうど教室に着いた時に担任が表れ、ギリギリセーフで遅刻にはならなかった。まあ登校時間はとっても早いんですけどね。
HRは先生の話を聞いていれば良いから、筆箱の後ろで携帯を開く。チラッと顔を上げると見える範囲で10人くらいが携帯をいじっていた。先生可哀相。

《サボってる後輩くんみっけw後で友達に言っておこう^^》

蔵ノ介くんと謙也もフォローしているツブッターで呟いてみた。多分あの二人なら財前くんだと気がつくだろう。私が後輩と呼べるような子は財前くんだけだ。
間をあけずに通知がきて、このスピードは謙也か?とツブッターを開けば、…えっと、善哉P…?

《Sさんって結構Sですか?説教たれるような人にチクったら可哀相ですよw》

え、Sじゃないです…サボってる財前くんが悪いんです…てか、え?なんで善哉Pに反応された?

《すでに話は伝わってると思いますwwあとSじゃないです!後輩くんに会えて構いたくなっただけなんです!善哉Pさんって学生さんでしたよね?学校で偶然友達とかと会えると嬉しくありませんか?》

自然、だよね?もう手が震えて仕方ないんだけど…!憧れの人に当たり前のように話しかけられると、"え?え?私ですか?私に話しかけてますか?"みたいな感じになるじゃん!興奮する心を落ち着けて、一時間目が始まるから携帯を閉じた。

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