委員会のお仕事


「あ」
「…今日も当番スか?」
「うん 財前くんも?」
「はい」

やはり図書室に財前くんは似合わない。静かなモノクロの場所が、財前くんがいるだけで色づく気がする。久しぶりに会った財前くんは相変わらずだるそうにアニメ雑誌を読んでいる。小説を持ってきて隣に座れば、財前くんは小説の表紙をチラッと見ただけで視線を雑誌に落とした。この前はちょっと話せたけど、財前くんの性格を掴めたわけじゃないから私から話しかけるのは勇気がいるし、財前くんは話しかけてこないし。

「瀬戸さんと財前くん、ちょっとおつかい行ってきて」
「はい…?」
「事務室に新刊たくさん届いてるから、台車持って行ってきて」
「だる…」
「ちょ、財前くん」
「雑誌も届いてるから付録好きなの選ばせてあげる」
「…」
「…この前知り合いに貰った白玉善哉あるんだけど…」
「行ってきます」
「え」
「じゃあお願いね 瀬戸さんも、あとでお菓子あげるわ」
「あ、はい、ありがとうございます」

早歩きで図書室を出て行った財前くんを走って追いかける。なんで急にやる気出したんだろう。めんどくさそうに顔をしかめていたのに。

「財前くん!」
「…ああ、忘れてました」
「ひどい!…っし、待たせてごめん!」
「…足遅いッスね」
「うっ…」
「はよ行きましょ」

追いついて隣に並べばゆっくりと歩き出してくれた。自分勝手に見えて、人に合わせることもできるからすごいよね。クラスの女子がよく騒いでるけど、確かにこれはモテる男の子だなぁ。ちらっと上目で財前くんを伺うと、どこか嬉しそうな雰囲気だった。司書さん、白玉善哉って言ってたっけ?そんなに好きなのかな、意外。コーヒーとかを飲んでいそうなイメージだったけど。

「私シュークリーム好き」
「は?」
「え」
「ああ、…白玉善哉のことスか?」
「あ、甘いもの好きなのかなぁって、思ったんだけど…」
「まあ、はい 基本的には」
「…そうなんだ」

なんか…はずした気がする。盛り上がらない。でも甘いものが好きってことは分かったから良いよね。少しでも情報を集めて、その内普通に話せるようになったらそれで。

「…すみません」
「え?」
「気遣ってますよね?別に良いッスよ 俺のが年下ですし」
「なんで?確かに気は遣うけど、それは財前くんと仲良くなりたいからだから… あ、財前くんが嫌だったら話しかけないよ!ごめんね」
「…先輩、おもろ」

プッと吹き出した財前くん。慌てる私を見て更に笑っていた。よくわかんないけど、君、失礼じゃないか…!?

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