友達の友達


生放送の次の日、学校で見覚えのないイケメンさんに声をかけられた。イケメンなのにヘリウムガスで声を変えていた。大阪怖い。

「瀬戸さん、会いたい人はいますか?」
「…間に合ってます」

名前知られてるよ、何者だあの人。会いたい人はいますか、とか。怪し過ぎるだろ。思わず回れ右で走り出したけれど、なんだったんだ。なんで私なんだ。チラッと振り向くとあの人はもういなかった。え、怖い。



「おばけ?」
「うん なんかイケメンなおばけだった」
「へー この高校にもおばけとかおったんや」
「ね 別に怖くなかったけど、言ってることがわけ分からなかった」
「日本語しゃべらへんのか!」
「あ、ちがくて なんか会いたい人はいますかって」
「え、なんそれ 死んだ人の名前言ったら向こうの世界連れていかれるとか…」
「…う、うわああ、危ない、死ぬとこだった」

忍足に先程のことを話すと予想外の怪談話が帰ってきた。おばけなんかに殺されるところだった。逃げて良かった…。怖いこと言わないでよ!と忍足を小突き笑った。

「謙也ー、ちょっとええかー」
「へーい」
「…う、わぁあああ」
「え!?」
「おばけ!」
「は!?」

さっきのおばけじゃん!え、人間じゃん!その人を指差したまま動かない私を忍足は目を見開いて見た。階段の下から私達を見上げる彼は、ニヤッと笑って忍足をもう一度呼んだ。忍足は「ちょっと待ってて」と勢いよく走って行った。

ま、まてよ。私に話しかけてきたおばけは…忍足の友達?おばけじゃなくて人間?ただ単にヘリウムで声変えてた同級生?…な、なんなんだ一体。

「瀬戸、今日帰りウチ寄れるか?」
「え、うん …あの人誰?」
「…気づかんかったなら、帰り教えたる」
「気づく?忍足、どういうこと?」
「後で ほらもう授業やで」
「ちゃんと教えてよ?」
「おう」

私が知ってる人なのかな…。あんなかっこいい人、見たことあったら覚えてると思うんだけどな。

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テーマ「人外ファンタジー」
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