白石



幼なじみから恋人になるのはやっぱり難しいのかな。でも幼なじみなのに、小さい頃から一緒にいるのに好きになるなって言う方が無理。近くにいたら意識して当然じゃん。

「ん…、くう…?」
「…起きた?」
「んんー よく寝たっ」
「みたいやな 自分が呼んだんに、来たら寝てて驚いたんやで」
「ごめんごめん せやけど眠かってんもん」
「無防備過ぎ 俺も一応男ってこと忘れんといて?」
「はぁーい」

忘れられないよ。くーが男の子じゃなかったらこんな気持ちにならないもん。ゴシゴシと目を擦っていると手を取られ、冷たく細い指が目元に触れた。

「目、擦ったら真っ赤になるで」
「…ん、ごめん」
「あんま心配させんといて」
「気ぃつける」

ポンポンと頭を叩かれ心臓が騒がしくなった。あーなんかドキドキしてやばい。くーかっこよすぎだよ。いつの間にこんなに男になっちゃったの?私はまだまだがきんちょなのに。
ベッドに腰掛けるくーの隣に座り直し、少し緊張しながら身体を傾けるとくーの肩がしっかり支えてくれた。そのまま頭を撫でられてもっとドキドキしたけど、前に起きたら目の前にくーの顔があった時が一番ドキドキしたかも。起こしてくれるのは嬉しいけどもっと心臓に優しい起こし方をして欲しい。

「で、なんの用やったん?」
「んー…」
「おい また寝るなや?」
「大丈夫ーちょっと休憩ー」
「なまえはそういう時大体寝る ほら起きて!」
「ねーむーいーの」
「俺かて部活終わりで眠いわ!」
「じゃあ一緒に寝る?」
「…っ!」
「なーんちゃって」

寝ぼけてる時は大胆発言ばっかりする私。しかもしっかり覚えてるからタチが悪い。なんであんな恥ずかしい発言が出来るのか…、今もなんだけどね。
「ちょっと相談あったけどどうでもよくなっちゃった」と言うと隠そうとしないため息が聞こえて少し悲しくなった。

「なまえはすぐ大丈夫って言うけど、だいたいが大丈夫やあらへんよな」
「…そう?」
「なんか悩んだらすぐ言って良いんやで 味方やから」
「…うん ありがと」

もう、その言葉だけで十分だよ。

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